子ども向けのオープンソース・プログラミング言語 Beginner's Guide(1/2 ページ)

プログラミング環境は昔と比べると複雑になり、専門知識のない若年層にはハードルが高すぎるかもしれない。本稿では若年層に訴求するプログラミング環境を幾つか紹介する。

» 2008年12月26日 01時27分 公開
[Ryan McGrath,SourceForge.JP Magazine]
SourceForge.JP Magazine

 この2年間で、子どもを対象とするオープンソースのプログラミング言語とユーティリティの数は爆発的に増えた。こういった活動の根底にあるのは、BASICの時代と比べてプログラミング環境があまりに複雑になり、専門知識のない若年層にはハードルが高すぎるという考えだ。あるツールキットは若年層にアピールするゲームやアニメーションなどのプロジェクトを構想、作成するまったく新しい方法の考案を目指し、またあるツールキットはBASICの“ベーシック”性をモダンな言語と環境に再現しようと取り組んでいる。

Scratch

Scratch Scratch

 MITのLifelong Kindergartenグループが開発したScratchは、Squeakに実装されたグラフィカルなプログラミング環境で、その操作方法はLEGOの遊び方によく似ている。基本的に、カラフルなコードのブロックを組み立てることでプログラムを作成する。独自のインタフェースを利用し、グラフィックスとサウンドを組み入れて簡単なアニメーションを作成できる。ループやif文などのすべての基本プログラミング構造がサポートされ、種類の異なるブロックをモーション、センシング、サウンドなどのカテゴリにグループ化できる。

 ScratchにはMicrosoft Windows版とMac OS X版があるが、まだ(正式な)ネイティブのLinux版はない。Wineを利用すれば実行可能だが、今回テストした限りではほとんどのオーディオ関連のScratchプログラムが動作しなかった。Linuxで動作可能なバージョンのScratchもあるが、MITの開発者はあまり熱心に取り組んでいない。このバージョンの問題の1つは、Scratchプログラムを全画面表示で使用するプレゼンテーションモードが機能しないことだ。Scratchプログラムを表示するモードはほかにもあるので致命的な欠点ではないが、便利な機能が欠けていることは明らかだ。

 Scratchが備える便利な機能の1つは、完成したプログラムをScratch Webサイトにアップロードできることだ。このサイトではアカウントを作成し、サポートを要求し、ほかのScratchユーザーがアップロードしたプログラムを利用することができる。アップロードされたプログラムはどれもオープンソースであり、これらのScratchプログラムのソースをダウンロードし、変更することは自由である。また、ScratchプログラムをWebブラウザに表示することもできる。この機能の大部分は、Scratch Playerと呼ばれるJavaアプレットを通じて実現される。ScratchそのものはScratch Licenseなる独自ライセンスに基づいてリリースされ、アップロードされたプログラムはCreative Commons Share Alike licenseに従う。

 Scratchを試して気がついた問題点は、たくさんのグラフィックスや特に音楽が含まれる場合にプログラムのソースコードが大きくなることだ。音楽を再生するだけの単純なあるプログラムは、何と93Mバイトの大きさになった。一般にScratchで60Mバイトを超えるプログラムを読み込むと応答が極端に悪くなり、たいていはエラーになる。ファイルのサイズが大きくなるのは、ソースコードが古いことに関係があると思われる。同じファイルの保存と再取得の処理が繰り返されることで、サイズが指数関数的に肥大化するようだ。

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