子ども向けのオープンソース・プログラミング言語 Beginner's Guide(2/2 ページ)

» 2008年12月26日 01時27分 公開
[Ryan McGrath,SourceForge.JP Magazine]
SourceForge.JP Magazine
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Alice

Alice Alice

 Scratchは2Dグラフィックス、テキスト、そのほかの“平面的な”プログラミング概念を扱うが、Aliceでは3Dのムービーとゲームを舞台にプログラミングの基礎を学習する。AliceはJavaで書かれており、ドラッグ&ドロップ操作でプログラムを組み立てる点はScratchと似ている。

 Carnegie Mellon大学の研究グループが開発したAliceは、Linux版、Mac OS X版、Windows版がリリースされ、Alice Licenseというライセンスに基づいて公開される。ソースコードをダウンロードし、読解できる点で環境はオープンソースだが、開発者はチーム内で作業を完結させることを好み、外部からのコードの寄与を受け付けない。1999年ごろに登場したAliceは、子どもにプログラミングを教えるための環境として最も古く、最も開発が進んでいるものだ。そのため、世界中の学校で利用されている。

Shoes

 Shoesは、“why the lucky stiff”で知られる開発者によって開発され、現在は大規模な開発コミュニティーによって開発が続けられている。ユーザーフレンドリなRubyプログラミング言語で書かれたShoesは、伝統的なプログラミング手法にやや比重を置いたオープンソースのツールキットである。Shoesでプログラムを作成するために必要なものは、ランタイム環境を除き、通常のテキストエディタだけである。プロジェクトのWebサイトからフリーのPDF形式ガイドブックをチュートリアルやサンプルを含め入手できる。また、印刷されたガイドブックを5.57ドルで注文することもできる。Shoes 2には、キーコマンドでアクセスできる充実したマニュアルが組み込まれている。

Shoes Shoes

 Shoesの構文はRubyに似ており、グラフィックスやボタンの作成、カラーやテキストの表示を簡単に行うメソッドが用意されている。Linux、 Mac OS X、Windowsなど、複数のプラットフォームに対応する。プラットフォーム間の互換性は良好であり、ウインドウ、ボタン、ダイアログはそれぞれの環境のネイティブな外観で表示される。アプリケーションを最初に作成したのがどのプラットフォームであっても関係ない。Rubyに似ていることのメリットは、さまざまなRubyGemsパッケージにアクセスできることだ。Shoes 2には、ユーザーのシステムにまだ存在しないGemを自動的にインストールする機能さえある。

 Shoesにはファンによって運営されるWebサイトがあり、Shoesで作成したアプリケーションのギャラリーが公開されている。Scratchと同様に、アップロードされたすべてのアプリケーションは自由にダウンロード、変更、再編成できる。ShoesそのものはMIT Licenseの下でリリースされ、外部でのパッチ作成や開発に門戸が開かれている。

 ほかにも子ども用のプログラム学習ツールは、GreenfootPhogramMicrosoftのSmall Basicなど、たくさんあるが、多くはプロプライエタリのツールである。Scratch、Alice、Shoesはオープンソースであり、フォーラムやチャットルームなどのサポートチャンネルを持ち、活発なコミュニティーが形成されている。これらの3つの環境は、児童にプログラミングの概念を教えることを目的とする、おそらく最もオープンかつ成熟したアクセスの容易な環境だろう。

新しいことをはじめる前には「Beginner's Guide」で知識を得てみませんか?


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