企業ITサービスを支えるブレードサーバ

サーバルームをユニット単位で拡張――日立「モジュール型データセンタ」省エネ、省スペース、床上げ不要

日立はデータセンターをモジュールごとに導入・拡張できるサービスを提供する。省電力/省スペース/工期短縮を目的とする。同時にサーバラックに収納できる「ラック型空調機」を新規開発した。

» 2009年01月20日 18時41分 公開
[石森将文,ITmedia]
エンタープライズサーバ事業部 渡部事業部長 エンタープライズサーバ事業部 渡部事業部長は「冷却ユニットの水漏れ防止技術などには、日立がメインフレームで培った技術をフィードバックしている」と信頼性を強調

 日立製作所(以下、日立)は1月20日、自社内にデータセンター/サーバルームを有する企業やIDC事業者向けに省電力・省スペースを主眼としたデータセンター環境を提供するサービス「モジュール型データセンタ」を発表。3月31日から提供開始する。

 本サービスの特徴は、サーバやストレージなどのIT機器を搭載したラックおよび冷却装置などを機器稼働効率が最大となるよう配置した「モジュール」を最小単位とし、サイジングの手間なくスモールスタートできること。モジュールはパーティションで仕切られ、19インチのサーバラックと今回日立が新規開発した「ラック型空調機」がセットで並ぶ。背中合わせで並べられたラック列の中央部をヒートアイルとし、効果的な冷却を行う。なお、ラック背面に取り付ける「水冷リアドアクールセーバー(ラックからの排熱を直接冷却できる)」もオプションで選択できる。水冷リアドアを採用した場合、ラックあたりの最大冷却能力は「35kw」となる(標準モデルの場合21kw)。

 個々のモジュールの大きさは6.3メートル×3.6メートル(約22平方メートル)となる。データセンターを拡張する際はモジュール単位で追加でき、初期構築期間も従来比で67%削減できるという(日立調べ)。

 導入するユーザーはまず、日立独自の冷却最適化技術を基にする空調環境コンサルティングサービス「AirAssist」を受ける。ここでは設置環境のシミュレーションなど、データセンターの新規設置や改善に向けたコンサルテーションが行われる。「モジュール型データセンタ」自体はある程度テンプレート化されたサービスだが、この段階で個々のユーザー環境におけるカスタマイズ要求を吸い上げるという。日立による基準では、同程度のIT機器を従来型のデータセンター設備において稼働させた場合と比較し、消費電力を最大27%、設置面積(床面積)は最大75%まで削減できるという。

パーティションで囲った単位を「モジュール」とし、オンデマンドで増設する。床下空調の設置(結果として床上げが必要になる)は不要であることなどがメリットとなる

 エンタープライズサーバ事業部 渡部眞也事業部長は次のように話す。「ファシリティ含めた基盤技術の開発からコンサルテーション、設計実装、そしてバリューチェーンの構築までを対象とする本サービスは、まさに日立製作所のみならずグループ各社の総力を結集したもの。現状のデータセンター構築ビジネス(サーバ、ストレージなどIT機器の販売実績は除く)は年間210億円規模だが、本サービス単体でも、3年間で100億円の売り上げを目標とする」

 「モジュール型データセンタ」の導入価格は3500万円から。コンサルテーションや設計、保守サービスは個別見積もりとなる。

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