ニュース
» 2009年01月26日 08時00分 UPDATE

仮想化はサーバだけの話ではない:情報爆発時代を乗り切る「ストレージを選択する視点」

不況の真っただ中にある今日、ITへの投資も減少傾向にある。しかしデータの増加は「待ったなし」だ。企業は来たる情報爆発に対し、どのように備えるべきだろうか?

[大神企画,ITmedia]

本記事は、オンライン・ムックPlus「ストレージ市場の最新トレンド」のコンテンツです。関連記事はこちらでご覧になれます。


経済状況にかかわらず急増する情報量

 サブプライムに端を発する世界的な不況が継続する状況下、多くの企業は事業の見直しや投資の抑制を迫られている。そうした時代であっても、企業に蓄積される情報量が減ることはなく、むしろ指数関数的に増え続けているのが実情だ。経済産業省が2007年に発表した資料でも、高度情報化社会の進展に伴って情報量は急増しており、インターネット上でやりとりされるデータだけでも、2025年には2006年比で190倍にもなると見込まれている。まさに「情報爆発時代」の到来だ。

 情報は何も、インターネットを駆け巡るデータだけではない。企業にとっては、内部で扱わなければならないデータも増えている。特に日本版SOX法が施行された2008年度以降は、いざというときに証跡の提出が求められることもあり、保管が必要なデータは急増の一途をたどっている。

 当然のことながら、データを格納するためのストレージに対する需要は高まってくる。ただし、今の世の中、ストレージ容量をやみくもに増やしていける企業はほとんどない。よりコストをかけず、より効率的に容量を拡張することがストレージを巡るテーマになっている。したがって、現時点におけるストレージの最新トレンドは、投資効果を高めるテクノロジーが中心となっている。

注目のストレージ仮想化技術

 そうした最新トレンドの中で、最も注目を集めているのがストレージの「仮想化」技術である。ただし、ストレージ仮想化と言っても、いくつもの切り口がある。

 例えば「デバイスの仮想化」と呼ばれるものは、複数のストレージ装置を束ねて一つのストレージシステムとして扱える技術だ。これは、SANスイッチや専用アプライアンス、ストレージコントローラなどの機能によって実現されるもので、マルチベンダーのストレージを配下におけるところまで技術が進んでいる。

 また、「容量の仮想化」と呼ばれるものは、システムが必要とするストレージのボリューム容量を物理的な容量に依存せずに割り当てる技術である。これにより、実際の物理容量に関係なく大容量の仮想ボリュームが作成でき、データ量の増加に合わせた拡張が可能になる。容量の仮想化は、いわゆる「シンプロビジョニング」とも呼ばれ、容量設計の必要がなくなる技術としても注目されている。

 仮想化技術については、ストレージベンダー各社ともにさまざまなソリューションを提供しており、ストレージ分野において最も注目されるトレンドになっている。

シンプロビジョニング シンプロビジョニングの基本的な考え方(ネットアップの資料より)。リソースの割り当てに無駄がなくなる点が、通常のプロビジョニングとは異なる

価値に応じて階層で管理

 ストレージ仮想化とともに注目されているトレンドに「階層化」がある。これは、ストレージに保存されているデータの価値に合わせて、保存先のストレージを変更するというものだ。

 数年前、ストレージを巡る新しいトレンドとして「ILM」という言葉が登場した。ILMとはInformation Life-cycle Managementの略であり、情報をライフサイクルに合わせて管理するという考え方。例えば、現在利用中の重要度が高いデータは、高速で信頼性の高いファイバチャネルなどのディスクに保存し、時間の経過とともに変わる利用価値に応じて安価なSATAディスクに移動して、最終的にテープにアーカイブして保管期限後に破棄するという考え方である。

 バズワードの1つとして取り上げられるILMだが、もちろんまだ死語になったわけではない。しかし今は、情報の価値に合わせて保存先を階層(Tier)で管理するという意味で、階層化と呼ばれることが多くなっている。

 階層化では、価値の高い情報を「Tier1」の高信頼なディスクに保管し、価値が低くなったら「Tier2」の安価なディスクに移していく。これはILMと何ら変わりがないが、現在の階層化技術では、1つのボリュームで管理しながら段階的に移行することが可能になりつつある。つまり、利用者が意識して保存先のディスクを変更する必要はないのだ。

 さらに、この階層化については、「Tier0」というリアルタイム性と高速性が追求される新しい階層も追加されつつある。このTier0に使われるのが「SSD(Solid State Drive)」という、ディスクのように振舞うフラッシュメモリだ。SSDは、2008年ごろから市場に登場し始めた最新の技術である。

ストレージの階層化 時系列で変化するデータの価値に応じ、適切なコストと可用性を持つストレージにデータを格納する階層化という考え方(富士通の資料より)。Tier0の階層にはSSDをあてることが多い

重複排除により容量圧縮を実現

 そして、もう1つ注目されているのが、データの重複排除(デデュープ)技術である。ディスクに保存されるデータは一般的に、同一の重複したデータが数多く存在しているものだ。こうした重複データを自動的に探し出し、重複を排除してストレージ容量を圧縮しようというのが、デデュープの目指すところである。

 この技術は、とりわけデータバックアップやディザスタリカバリ環境の構築に適している。また、データベースのようにブロックデータを扱うストレージだけでなく、オフィス文書やメールのアーカイブのようにファイルを扱うストレージも効果を発揮する。デデュープを効率的に実行する専用ストレージを投入するベンダーもあるほど、注目度の高い技術でもある。

 このほか、省電力などグリーンITへの取り組み、テープ装置や仮想テープライブラリなどバックアップ装置の動向など、ストレージ分野には興味深い話題がたくさんある。次回からは、こうした最新トレンドについて取り上げ、それぞれの技術についてストレージ製品を選択する視点について、さまざまな角度から紹介する。

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -