この春にリリースされるFedoraやUbuntuの新バージョンでは、ext4のサポートが進んでいる。ext3の後継ファイルシステムについて2009年は議論が進みそうだ。
2009年5月ごろのリリースを目指して開発が進んでいる「Fedora 11」(開発コード:Leonidas)で、デフォルトのファイルシステムに「ext4」が採用されることが明らかとなった。同時期には同じくext4をサポートする「Ubuntu 9.04」もリリースされる予定で、ファイルシステムにかんする話題が盛り上がりはじめそうだ。
Linuxシステムで現在標準的に用いられているファイルシステムはext3。ReiserFSやXFS、Sun Microsystemsが開発した「ZFS」など、選択可能なファイルシステムは数多く生み出されているが、事実上開発が停止しているものや、ライセンスの問題などでLinuxカーネルに取り込まれていないことなどが影響してか、企業ではext3やXFSが標準的に用いられていることが多い。
しかし、ext3はファイルシステムのサイズ制限やメタデータの管理方法などをみても、大規模なストレージ環境には必ずしも最適ではない。扱うデータ量が増えるにつれ、大規模なストレージ環境で“使える”ファイルシステムの登場は企業を中心に強く渇望されており、ext3の後継ファイルシステムへの期待は高い。開発コミュニティーではext3が抱える問題を解決しようと拡張を図る上で、コードの複雑化や新機能の追加による後方互換性の維持が困難になると判断、“枯れた”ext3と分けてext4の開発に着手した。Linuxカーネル2.6.19から開発版として取り込まれており、Fedoraもバージョン9から利用可能な状態ではあった。
Fedoraでext4がデフォルトファイルシステムに採用されたことで、Red Hat Enterprise Linuxなど企業向けのLinuxディストリビューションでも1〜2年以内にこうした動きが取り込まれていくことになるだろう。
Linuxカーネル開発者の間では最近Linuxカーネルに取り込まれた「btrfs」が次世代ファイルシステムの本命であると支持する向きが多い。btrfsはOracleのクリス・メイソン氏が中心となって開発しているファイルシステムで、現在はGPLの下で開発が進められている。1月上旬にはバージョン0.17がリリースされており、多くのユーザーはext3など現在のファイルシステムからext4を経て(もしくは直接)btrfsに移行していくとみられる。
また、市場ではSSDを搭載するサーバも増えつつある。SanDiskが開発中のSSD向けファイルシステム「ExtremeFFS」のように、SSDやフラッシュデバイスの特性を理解したファイルシステムも登場しつつある。ファイルシステムの話題は地味ではあるが、今年が企業でも活発に議論されるだろう。
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