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» 2009年02月16日 08時00分 UPDATE

ブロックとファイルの違いを知る:「ストレージ仮想化」の基礎知識

現在のストレージ分野におけるトレンドの中でも、最も注目されているのが「ストレージ仮想化」だ。サーバ仮想化とともに、多くの企業システムへの導入機運が高まっている。

[大神企画,ITmedia]

多様な側面を持つストレージ仮想化

 今、ITリソースを有効に活用する手段として、さまざまな仮想化技術が注目されている。特に、サーバ仮想化は普及期に突入したと考えられており、すでに過半数を超える企業が何らかのシステムの実運用にサーバ仮想化を導入したといわれている。そして、サーバ仮想化に続いて普及すると見込まれるのが、ストレージ仮想化である。

 ストレージ仮想化は、大雑把に言えば、物理的なストレージを論理的に統合して、利用する側から見て一つのストレージプールとして扱おうという技術である。物理的なサーバを論理的に分割する一般的なサーバ仮想化技術とはちょうど逆になるが、ハードウェアから実際に利用する論理的なリソースを切り離し、利用効率や管理性、可用性を高めることを目的としている点では同じである。

 ただし、物理的なサーバ上に仮想化ソフトウェアの機能を使って仮想マシンを構築するというサーバ仮想化とは異なり、ストレージ仮想化は多様な側面を持っている。これは、データの扱い方、および目的によって技術的なアプローチが違うことに起因する。

SANの課題を解決するブロックレベルの仮想化

 確立されつつあるストレージ仮想化技術の話題の前に、これまでに利用されてきた各種ストレージ技術についておさらいしてみよう。ストレージ仮想化が実現するソリューションの1つ、「リソースの有効活用」という点では、複数のサーバに接続されたストレージを専用ネットワークによって一元的に集約したSAN(Storage Area Network)があった。SANは、サーバにストレージが直結されたDAS(Direct Attached Storage)に比べ、ストレージ容量を有効に利用できるだけでなく、サーバがストレージアクセスによって負荷がかかることを防ぎ、信頼性と可用性、性能に優れたストレージ環境を構築できるというメリットがある。複数のストレージを複数のサーバから扱えるという点で、SANは仮想化技術に近いと言える。しかし、仮想化技術と言われないのは、SANの仕組みが仮想化とは大きく異なるからだ。

 SANのストレージは、物理的にはサーバから切り離され、n対n接続になっている。しかし、論理的にはサーバとストレージは1対1の関係のままだ。これがDASに比べてストレージ管理を複雑にし、SANを運用するには高度な知識と手間が求められることになった。WWN(World Wide Name)の割り当て、スイッチのゾーニング設定、ベンダーや製品単位で異なる機能やコマンドなど、SANを運用管理するには高いハードルが存在していた。

 こうしたSANの課題、とりわけ運用管理の負荷を軽減するために考えられたのが、ブロックレベルのストレージ仮想化である。物理的なストレージのリソースを隠蔽し、ハードウェアを意識することなく管理できるようにすることが、この技術が登場する背景にあった。

 ブロックレベルのストレージ仮想化は、物理的なストレージのディスクにデータを読み書きする際、サーバ上のOSが利用するボリュームを仮想化する技術だ。ストレージ仮想化を実現する機器の働きにより、サーバにはストレージ上の実際のボリュームとは異なる別の論理的なボリュームを見せる。これにより、サーバは複数のストレージにまたがる大きなボリュームが作成できる。ストレージ仮想化機器は、ストレージ容量を有効に活用し、性能設計やチューニングも自律的に行えるほか、万一の障害発生時もサーバに影響を与えずに継続運用できる可用性も実現するというメリットがある。

ニーズが高まるファイルレベルの仮想化

ExDS9100.jpg 増大する非構造(ファイル)データ用として提供されるHP StorageWorks 9100 Extreme Data Storage System。ニコ動でも採用されるという

 かつてのサーバとストレージの関係は、基幹系業務システムに見られるように、アプリケーションがデータベースにデータを保存するというものだった。RDBMSをストレージと呼ぶこともあるが、それはこの関係を表している。

 ところが、企業システムの高度化によってありとあらゆる情報がIT上で扱われるようになると、データベースで定型的に扱う構造データとは質を異にするデータがあふれ始めた。それがいわゆる非構造データと呼ばれるものであり、メールやWebコンテンツ、ビジネスに利用する各種文書、映像・音声といったデータを指す。非構造データの爆発的な伸長は凄まじく、すでに非構造データの量が構造データを上回ったと分析するアナリストもいる。

 非構造データはファイルという単位で扱われるという特徴がある。そのファイルの格納場所には、ファイルサーバやNAS(Network Attached Storage)が利用されてきた。こうしたファイルレベルのストレージは、SANのようなブロックレベルのストレージとはデータの扱い方がまったく異なっている。ファイルレベルのストレージではOSが動作し、そのOSのファイルシステムが存在している。サーバは、主にIPネットワークのプロトコルを使って、データをファイル単位で転送する仕組みだ。

 ただし、ファイルレベルのストレージにも、ブロックレベルと同様の課題がある。ストレージそのものが物理単位で扱われるのは同じだし、容量が不足すればディスクや機器単位で増設するのも同じだ。

 この課題にも、ストレージ仮想化というソリューションがある。これは、NASのコントローラにストレージ管理機能を追加したようなものであり、複数のNAS、あるいはSANのストレージを配下に持ち、サーバから見て巨大なファイルサーバとして見えるようにする。

 今回は、ブロックレベルとファイルレベルという、データの扱い方の違うストレージ仮想化を紹介した。次回は、ブロックレベルとファイルレベルのストレージ仮想化に対する各社の取り組みを紹介するとともに、「デバイスの仮想化」「容量の仮想化」という別のアプローチによるストレージ仮想化について解説する。

関連キーワード

ストレージ仮想化 | SAN | NAS | RDBMS


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