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» 2009年02月26日 08時00分 UPDATE

ILMを具現化:SSDによる「Tier0」も登場――ストレージ階層化

「ILM」がストレージ分野におけるトレンドとして注目されてから久しい。この間、ILMを具現化する技術開発が進み、現在は情報の価値に合わせて保存先を変える「ストレージ階層化」への関心が高まっている。

[大神企画,ITmedia]

情報の利用価値に応じて階層化

 ILM(Information Lifecycle Management=情報ライフサイクル管理)は、情報が生成され利活用されてから、再利用のために検索/参照されたのち、一定の保管期限を経て廃棄されるまでの間をライフサイクルの観点で管理しようというもの。データ量が日々増加の一途をたどる今、すべてのデータを同等に扱おうとすると、ストレージをどんどん拡張しなければならない。もちろん、ストレージへの投資には限界がある。そこで生まれたのが、情報のライフサイクルによって利用価値を判断し、その価値に見合ったストレージにデータを格納しよう考え方。これがILMである。

 このILMの考え方にのっとったソリューションには、いくつかの技術や仕組みがある。中でも重要な仕組みと考えられているのが、ストレージ階層化(Tiered Storage)だ。これは、情報の利用価値に応じて、保存先のストレージを性能やコスト、信頼性によって階層分けするというもの。層という意味の英語「Tier」(ティア)を頭に付け、Tier1、Tier2、Tier3という3層に分けることが一般的だ。

 ストレージ階層化のTier1は、ILMにおいて最も情報価値が高い生成して利活用している最中のデータを保存するオンラインストレージである。Tier1では、高性能で高信頼性のファイバチャネル(FC)ストレージが使われる。導入/運用コストは高いものの、価値の高い情報を確実に保護できる。

 Tier2は、利活用を終えて再利用のために検索・参照されるようなデータを保存する、大容量で低コストなストレージ。オンラインとオフラインの中間にあるため、ニアラインストレージと呼ばれることもある。Tier2では、SASやSATAのストレージが使われる。

 そしてTier3は、アクセスがほとんどないデータの保存に特化したオフラインストレージ。容量単価に優れたテープドライブ、あるいはディスクを採用したアーカイブ専用ストレージなどが相当する。

情報の重要度に応じ適切なストレージを配置する考え方(富士通資料より)。より性能を優先する「Tier0」という階層も登場しつつある 情報の重要度に応じ適切なストレージを配置する考え方(富士通資料より)。より性能を優先する「Tier0」という階層も登場しつつある

データを最適配置する仕組み

 もちろん、ストレージを階層化しただけでは、ILMが目指す効果を期待することはできない。情報価値をポリシーとしてあらかじめ設定し、そのポリシーに従ってデータを各Tierに振り分ける機能が必要になる。1カ月間アクセスのないデータをTier1からTier2に移動したり、アプリケーションが自動生成するバックアップファイルは最初からTier2に保存したりといったことを自動的に再配置する仕組みだ。

 こうした自動配置の機能は、ストレージ仮想化技術と組み合わせてファイルシステムやストレージ管理ソフトウェアに含まれていることが多い。IBMが開発した「GPFS(General Parallel File System)」は、複数ノードからのアクセスが可能な分散共有ファイルシステムであり、アプリケーションから見た論理構造を維持したまま物理的な保存先を変更するILM機能を備えている。また、サンの「Sun Storage」で採用されている「ZFS Hybrid Storage Pool」も、ストレージを階層化して単一プールとして管理する。ストレージ管理ソフトウェアでは、日立の「Tiered Storage Manager」などがある。

 さらに、シマンテックの「Symantec Enterprise Vault」のように、ILMを実現するソフトウェアも存在する。富士通では、同社のストレージ「ETERNUS」とシマンテック製品を組み合わせ、ILMに対応するソリューションとして提供している。

階層化できない業務に最適な製品

 無駄な投資を避けるために有効な手段であるストレージ階層化だが、それを実現するには大きな課題がある。情報価値に応じたポリシーを設定する作業である。

 ストレージ階層化を実装するには、当然のことながらポリシーの設定が前提となる。ところが、ポリシーの設定が難しいシステムもある。例えば、一般消費者を相手にインターネットビジネスを展開する場合、ユーザーの考え方は千差万別。そこにポリシーは存在せず、ストレージを階層化することは困難。つまり、階層化せずに高性能で高信頼性、大容量で低コストというストレージが求められる。

 そうしたニーズをターゲットにした製品も登場しつつある。例えば、IBMの「IBM XIV Storage System」は、高性能で高信頼性と大容量で低コストを両立したストレージだ。SATAディスク12ドライブを1つのモジュール単位とし、それを15モジュール搭載するという分散型アーキテクチャを採用。データを1MBのパーティションに分割し、全ディスクにまたがってミラーリングの状態で配置する。これにより、ディスクの使用領域は常に平準化されて性能が向上するとともに、データの可用性も高められるというものだ。

 デルのIP-SANストレージである「Dell EqualLogic PS」、アイシロンの「Isilon IQ」なども、アーキテクチャの違いがあるにせよ、同様のニーズがターゲットの製品と言える。これらのストレージ製品には、シンプロビジョニング機能により容量の拡張も非常に容易という共通点もある。

 なお、フラッシュメモリ(SSD)の登場により「Tier0」と呼ばれる新しい階層も設定されつつある。これについては、別記事で紹介する。

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