「ケータイネイティブ」世代の進出――あなたの会社は考慮していますか?会社に潜む情報セキュリティの落とし穴(1/2 ページ)

携帯電話に慣れ親しんだ世代が社会に進出しつつある。一方で携帯電話の情報セキュリティ対策に目を向けている企業はどれほどあるのだろうか?

» 2009年03月11日 08時05分 公開
[萩原栄幸,ITmedia]

数々のセキュリティ事件の調査・分析を手掛け、企業や団体でセキュリティ対策に取り組んできた専門家の萩原栄幸氏が、企業や組織に潜む情報セキュリティの危険や対策を解説します。

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 今回は携帯電話のセキュリティなどについて考えてみます。携帯電話が一般に登場するようになったのは、いつごろでしょうか。いろいろな見方がありますが、個人的には1985年に発売された肩下げタイプの移動電話が1つの目安になると思います。それ以前には車載用の移動電話もありますが、わたしは肩に下げて使っていました。

 それから25年ほど経ちましたが、今では片手で持ち運べるほどになり、生活環境が大きく変化しています。未成年の学生に「何がないと一番困りますか」という質問をしたことがありますが、その回答で一番多かったのが「お金」ではなく携帯電話でした。大人からすれば、「友人から借りられるからおかしいのではないか」という見方もありますが、子供たちにとって携帯電話は自分の分身のようなものであり、友人から借りるなど言語道断だという意識を持っています。携帯電話がないと友人の連絡すらできない人も多数おり、電話番号を手帳にメモせず、すべてを携帯電話に記録させているわけです。

 セミナーでは時折、受講者に対して「若い人とそうではない人の見分け方を知っていますか」と尋ねることがあります。わたしの期待する答えが返ってくることが少ないのですが、実は「いつも電子メールは携帯電話とPCのどちらで使っているか」というものです。その質問すると、見分けることができるわけです。

 電子メールと言っても、40代後半以降の人はPCで利用するものだと思いがちで、携帯電話の電子メールはその時の状況でやむを得ない場合に限って使う「代用」「緊急用」という意識が強くあります。恥ずかしながら、わたしもその部類です。しかし、若者たちは物心が付いた時から携帯電話が存在していました。若者たちの間では、PCを習得するよりも携帯電話を習得する方が早いという人が圧倒的に多くなりました。

 彼らからすれば、電子メールは携帯電話で使うのが当たり前であり、PCのメールは仕事でやむを得ず使うという感覚です。上司への報告やLAN内にある業務システムで利用をするといったことが多く、PCのメールは、図やグラフを多用した提案書を確認するなど携帯電話ではどうしても難しい大画面を必要とする作業などに限定するようになりました。携帯電話の小さいキーの操作は、若者たちにとってはほとんど苦になりません。むしろ「PCのメールは面倒だ」という人が多く、大学教授の友人から卒業論文の作成すらも携帯電話で行う人間が多数いると聞き、本当に驚きました。

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