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» 2009年03月13日 08時00分 公開

クラウドコンピューティングの実際:IT業界の産業革命――クラウドがすべてのビジネスパーソンに与えるメリット (1/2)

「クラウドコンピューティング」はあちこちで聞かれる言葉だが、その意味するところは情報源によって異なるケースも少なくない。本当のメリットを享受するため、クラウドで何ができるかを考えよう。

[岡安一将(NTTデータ),ITmedia]

今こそ求められる「エンタープライズクラウド」

 2008年に日本でも一気に広まった「クラウドコンピューティング」という概念は、一部からバズワードであるという声を浴びながらも、衰えを見せることなく成長を続けています。しかし一般に使われているクラウドの意味はさまざまで、ITベンダーの営業や発言者にとって都合の良い意味合いで利用される事も多いようです。まずはその意味を整理しておこうと思います。

 本稿ではクラウドコンピューティングを「企業が社外のコンピューティングリソースを利用する」という意味で利用します。

 クラウドコンピューティングのメリットとして一般的に言われているのは以下の5つです。スモールスタートのシステムや一時的な利用に都合が良いのが特徴です。

  1. 大規模な初期投資がいらない
  2. 申し込み後24時間くらいで使える
  3. インターネット経由で利用も管理もできる
  4. 拡張性が高い
  5. 変更(追加/縮小)に強い

 実はこのメリット、すでに普及している「ユーティリティコンピューティング」や「ASPサービス」のメリットに近いともいえます。しかしそれらのサービスは、プロバイダー側に大きな先行投資を強いるため、自力でシステムを構築するより高くならざるを得ません。現在サービスが始まっているクラウドサービスも本質的に同じ構造ですが、仮想化技術を用いる事でハードウェア単体でのサーバ収容率を上げられるため、利用料をそこそこに抑えられていると考えられます。

 また、サービスの利用期間が細かく決められるのもユーザーにとってはうれしい点です。年単位の契約で「業務量に応じて利用できるユーティリティコンピューティングサービスです」といわれても説得力がありません。なぜなら、例えばECサイトの業務量ピーク特性は、セールやキャンペーンの数時間に通常時の数10倍にふくれ上がるからです。

 そして主なデメリットは以下の5点です。主に非機能要件への対応が弱いと言われています。

  1. 信頼性やセキュリティのSLA(Service Level Agreement)がないに等しい(※注1)
  2. セキュリティは特に不安
  3. なにせ雲なのでシステム構成が不明で不安
  4. 性能特性も不明
  5. 海外のサービスは通信遅延があるのでレスポンスが若干遅い

 一般的に、非機能要件はシステムの重要度に応じた適切なレベルがあります。例えば信頼性について言うと、停止=損失である企業システムで、止まっても良いシステムはなかなかありませんし、お客様からお預かりした大事な個人情報を外部に預けるのは、コストのためとはいえ大きな決断が必要になります。

 その点で現在のクラウドコンピューティングサービスは企業システムにとっては不十分なインフラといわざるを得ず、それがSLAが保障されたエンタープライズクラウドの普及が待ち望まれている背景でもあります。

※注1:Amazon EC2のように、信頼性のSLAが保障されているサービスもあります

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