わが社のコスト削減

内線電話を社外に持ち出す――通話料を下げるPHSの新たな利用わが社のコスト削減(1/3 ページ)

PHSで内線通話ができるサービスをウィルコムが始めたのに続き、携帯電話各社も同様のサービスを今年から始める。通話料金の削減と業務効率の改善がメリットというが実際の効果はどうか。ウィルコムとユーザー企業に聞いた。

» 2009年04月23日 08時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]

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 ウィルコムは、2007年12月から同社のサービスエリア内ならどこでもPHS端末で内線通話ができる「W-VPN」サービスを提供している。同サービスは、企業の電話交換機(PBX)とウィルコムの回線網を専用線で接続することにより、定額料金だけで内線通話をいくらでも利用できるというのが特徴だ。

 例えば外勤社員へ連絡する場合、携帯電話やPHSに電話を掛けるのが一般的だが、その際の通話料金は話した時間に応じて増えていく。しかし、同サービスでは通話し放題になるため、通話時間が長ければ長くなるほど通信コストを削減できる。NTTドコモとKDDI(au)、ソフトバンクモバイルの携帯電話各社も今年からウィルコムに追従して、同様のサービスを始めるなど、携帯端末の内線利用がコスト削減策として注目されている。

 サービスが具体的にユーザーへどのようなメリットをもたらすのかを、ウィルコムとW-VPNサービスを導入して1年が経過した東京ガスグループの東京ガスリックリビングに聞いた。

利用企業は好調に増加

 ウィルコムは、W-VPNの利用者数を公表していないが、2008年1月の記者会見で喜久川政樹社長が「数万回線の申し込みがあった」と話すなど、スタート時点から企業数および回線数とも順調に増えているとみられる。

 W-VPN販売促進室の小泉勇一課長補佐によれば、1社あたりの利用規模は平均で数百回線となっており、事例を公開しているJTBビジネストラベルのように1000回線以上の企業もあるという。

W-VPNの仕組み

 導入のきっかけは、PBXの更新に伴うケースとコスト削減への迅速な対応で導入するケースが半数ずつを占める。国内で販売されている大半のPBXがW-VPNに対応しており、早ければ申し込みから1カ月強で利用できる。実際の運用開始までの期間は、数百回線を利用する場合で2〜3カ月程度、1000回線以上の場合で6〜12カ月程度だ。

 利用料金は、専用線が1回線あたり月額5250円、端末(オプションプランの位置付け)が同315円。このほかに初期費として専用線で同1万500円、端末で同1050円が必要。端末では音声定額など通常の料金プランの契約も必須となる。

 W-VPNの導入メリットについて、小泉氏は通信コストの削減と業務効率の改善を挙げる。「導入企業では平均すると通信コストを4割程度削減ができたという結果が出ている。可視化は難しいが、社員同士の連絡がスムーズになる点でも評価されている」(同氏)

 同社では、導入を検討する企業にW-VPNの導入で通信コストがどのくらい変わるのかという試算データも提供しており、実際の効果も試算とほぼ同じ結果を得られることが多いという。W-VPNサービスは、導入による効果を具体的に数値で知ることができることから、社内ネットワークを管理する情報システム部門や端末などを管理する総務部門だけでなく、経営層からも通信コストの削減などに対する効果的な施策として理解を得やすいなどの特徴もあるとしている。

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