AndroidはNetbook市場でWindows 7を脅かすか?Microsoft vs. Googleの新たな戦場(1/2 ページ)

AcerがAndroid搭載Netbookをリリースすると発表した。機能に制限のあるWindows 7のStarterエディションよりも柔軟性の高いAndroidを選択するのは賢明かもしれない。

» 2009年06月08日 16時36分 公開
[Don Reisinger,eWEEK]
eWEEK

 Acerは6月2日、Google Androidを搭載したNetbookを今年7〜9月期にリリースする計画を明らかにした。これは重大な発表だ。Acerは現在、「Aspire One」シリーズの下で各種のNetbookを販売しているが、これらはいずれもWindowsがネイティブで動作する状態で出荷されている。PC分野で(Linuxではなく)GoogleがついにMicrosoftに一撃を食らわそうとしているのだ。そしてAcerの動きから判断すると、同社はAndroidがテイクオフするのを望んでいるようだ。

 AcerでIT製品を担当するジム・ウォン社長は「Netbookはコンパクトなサイズで、どこからでも簡単にインターネットに接続できるのが特徴だ」と発表文で述べている。「Android OSは非常に高速なワイヤレスインターネット接続を可能にする。この理由により、当社は顧客の利便性向上のためにAndroid Netbookの開発を決めた」

 将来的に、Acerが提供するすべてのNetbookでユーザーはWindowsとAndroidのどちらをインストールするか選択できるようになるという。

 AcerがNetbookでAndroidを採用するという決定に対して、Microsoftはまだ何もコメントしていないが、スティーブ・バルマーCEOら同社幹部はきっと動転していることだろう。Microsoftが完全に支配している領域に、Googleが初めて忍び込んできたのだ。これが数年前のことであれば、問題にはならなかっただろう。しかしMicrosoftがオンライン分野でGoogleと厳しい戦いを強いられている今日、これは人々が考えているよりも重大な問題かもしれない。MicrosoftはGoogleを嫌っている。GoogleもMicrosoftを嫌っている。そして今、GoogleはMicrosoftに狙いを定め、Netbook市場で同社を打ち負かしたいと考えているのだ。

 これは容易なことではないだろう。最近の調査によると、現在出回っているNetbookの90%以上がWindowsで動作するという。また、Windows Vistaの後継OSとなるWindows 7では、Netbook向けバージョン(Windows 7 Starter Edition)が用意される。Microsoftでは、これによりNetbook市場における同社の支配的地位を強固にしたいと考えている。

 Microsoftの戦略のもう1つの部分が、Netbookの名前を変えることだ。同社ではNetbookを「低価格の小型ノートPC(low cost small notebook PC)」という名前に変えたいのだ。この動きは一見すると、「Zune」や「Bing」といったひどい名前を選んだMicrosoftの命名部門がまた出しゃばってきたように見えるが、本当のところはビジネス戦略なのかもしれない。Microsoftにとって、Windows 7の高機能版を利用してもらうには、「低価格の小型ノートPC」という名前が必要なのだろう。これは、AcerやASUSなどのメーカーがWindows 7に対して支払う費用が増え、現在でも薄いNetbookの利幅がさらに縮小することを意味する。Microsoftにとっては喜ばしいことだが、Netbookメーカーにとっては重大問題だ。

 AcerがGoogleに目を向けた理由もそこにあるようだ。AcerはAndroid推進組織Open Handset Alliance(OHA)に参加することにより、Windowsに対して強いられてきたような高い料金をAndroidに対して支払わなくて済むようになる。その結果、AcerはNetbookで高い利幅を即座に実現できるのだ。AcerがAndroid搭載Netbookの販売に成功すれば、ASUSも間違いなく後に続くだろう。そうなれば、AndroidがMicrosoftの90%の市場シェアを浸食するのは時間の問題だと言えそうだ。

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