IBMをBI市場の“勝ち馬”とみたSPSSニュース解説 IBMがSPSSを買収

IBMがSPSSの買収に乗り出したことで、とりわけBI市場での勢力争いが一層激化しそうだ。

» 2009年07月29日 18時04分 公開
[松岡功,ITmedia]

 米IBMが7月28日(米国時間)、統計解析やデータマイニングなどのデータ分析関連ソフトベンダーの米SPSSを買収することで両社が合意に達したと発表した。(ニュース記事参照

 IBMがSPSSの買収に乗り出したのは、SPSSが持つ予測分析(Predictive Analytics)技術を取り込むことで、より高度なビジネスインテリジェンス(BI)ソリューションを実現するのが最大の狙いとみられる。

 創業40年を超えるSPSSは、データ分析関連分野の老舗である。2008年の売上高は約3億ドルで、利益も着実に確保。1992年から経営の舵取りを務めてきたジャック・ヌーナン社長兼CEOが、堅実なビジネスを進めてきた。

 特に、統計解析ツールと言えば「SPSS」。社名と同一名称のパッケージソフトは、長年にわたって世界中の多くのユーザーに利用されてきた同分野のスタンダード製品である。さらに、SPSSは統計解析ツールに続いてデータマイニングツールでも市場をリードしてきた。そうしたデータ処理の新しいビジネス活用法として、ここ数年はBIソリューション、およびそのアドバンテージとなる予測分析技術に力を入れてきた。

 数年前、筆者がヌーナン社長兼CEOにインタビューした際、同氏は予測分析技術についてこう語っていた。

 「例えば、企業のマーケティングマネジャーが、過去にどんなことが起こり、いま何が起こりつつあって、これから何が起こり得るのかということを、データの裏付けを基に正確に見据えようとした時に有効な技術だ。最も大事なポイントは、事前に先を見据えて能動的に意思決定や行動を起こせるようにすることにある」

 ただ、いかに優れた技術でも、それを広めるパワーがなければビジネスとしては厳しい。しかもBI市場が今後ますます激戦区となるのは明白。見方によっては、今回の買収劇は、SPSSがIBMをBI市場の「勝ち馬」とみたともいえよう。

 ちなみに、ヌーナン社長兼CEOは、かつてIBMに10年間勤めていた。IBMを熟知した経営トップの判断ともいえそうだ。

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