活発なメーリングリストで欠かせないのは、次の2点です。まず明らかなのは、注目すべきものとどうでもいいものを見分けること、もう1つは、できるだけノイズの原因となることを避けることです。自分自身の投稿のS/N比を高く保つだけでなく、ほかの参加者のメッセージのS/N比も同様に高くしたい。それができないならいっそのこと投稿しないでほしい。
どうすればいいのかを考えるために、まずは状況を考えてみましょう。この中で、生産的でないスレッドといえるのはどれでしょうか?
うまく機能していないスレッドがすべて無駄であるとは限りません。中には重要な話題が含まれているかもしれません。そんな場合は、そのスレッドが盛り上がっていないこと自体が問題です。
あまり押し付けがましくならないようにスレッドの流れをよい方向に持っていくのは、ある種の芸術といえます。単に「無駄な話をするのはやめよう」とか「もっと前向きなことを投稿するようにしようよ」とか言うだけではうまくいきません。もちろんこれらを個人的に行うことはできるでしょうが、ちょっと強く言ってしまうと攻撃的になってしまいます。そうではなく、前に進むには次に何をすべきなのかを提案しなければなりません。あなたが望む結果が得られるような道筋を(無理やり指示しているような流れになるのを避けつつ)示してあげるのです。提案のよしあしを区別するのは、主に口調の問題となります。例えば、こんなやり方はよくありません。
これ以上議論しても、収束しないでしょう。取りあえず、だれかがこの提案を実現するパッチを書くまでこの話題はやめることにしませんか? 同じ議論を何度も繰り返すなんて無意味です。ごちゃごちゃ言うより、結局はコードでしょ?
それよりは、こちらの方がよいでしょう。
幾つかの提案はありましたが、結局どれもうまく膨らませることができず、多数決を取る段階まではいきませんでした。また、今や新しい意見も出てこなくなっています。単にこれまでの議論を繰り返しているだけです。今わたしたちに必要なのは、この提案に関する完全な仕様かあるいはパッチを含む投稿でしょうね。そうすれば、少なくともなんらかのアクション(その仕様について合意をとったりパッチをテストしたり)ができるでしょう。
後者のアプローチを最初のものと比べてみましょう。最初の方は「わたし」と「そのほかのメンバー」の間に一線が引かれていましたが、後者は違います。みんなをうまく議論に巻き込んでいます。あなたがそのスレッドの議論に最初からかかわっていたかどうかに関係なく、主語を「わたしたち」とすることが重要です。これによって、それまでスレッドをみているだけで何も発言しなかった人たちに対しても「みんなにかかわる話なんだ」ということを確認させることができるからです。
スレッドが煮詰まってしまった原因については説明していますが、誰かをののしったり自分の意見を押し付けたりはしていません。淡々と事実を述べているだけです。最も重要なのは、前向きに進めるために次に行うべきことを示している点です。これにより、ただ単に議論を打ち切らせる(そんな制限をしても、だれも守ってくれないでしょう)のではなくより建設的な方向に会話を持っていこうとしているのです。
そのスレッドをもっと膨らませたいといった状況ばかりであるとは限りません。時には、こんなスレッドはさっさと打ち切ってしまいたいと思うこともあるでしょう。この場合には、スレッドを終了させるための投稿をします。もしそのスレッドが既にみんなに忘れ去られてしまっているものなら、あなたが投稿するだけでそのスレッドは事実上終了するでしょう。もちろん、スレッドを打ち切る完ぺきな方法なんてありません。もしそんなのがあったとしても、使いたいとは思わないでしょう。しかし「何か目に見える成果を出してください。でなければこのフレッドを終了します」とお願いすると、うまくいくことでしょう。ただ、スレッドを終了させるのは十分に考えた後にしてください。話題によっては、雑談の中から生産的な内容に発展することがあるかもしれません。あまりに拙速に打ち切ってしまうと、あなたはせっかちな人と思われてしまいます。
どんなスレッドであっても、すぐに終了するとは期待しないでください。あなたが投稿した後にも、恐らく幾つかの投稿があるでしょう。あなたのメールがまだ届いていなかったり、あるいはいわゆる「最後にひとこと」が言いたかったりといった人たちによるものです。心配することはないですし、先ほどの投稿を繰り返す必要もありません。スレッドが収束する(あるいはさらに膨らんでいく)のを黙って見守っていればいいのです。完全にスレッドをコントロールすることなんてできません。ただ、あなたは多くのスレッドに何らかの効果を及ぼせるはずです。
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