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» 2009年10月25日 10時00分 UPDATE

マネジャーに贈るこの一冊:人生の“壁期”を考える〜『いま20代女性はなぜ40代男性に惹かれるのか』 (1/2)

いま、20代女性と40代男性の恋愛が増えているという。2つの世代をつなげる共通の悩み“壁期”との向き合い方を考えてみよう。

[堀内浩二,ITmedia]

 こんにちは、堀内浩二です。調査によればITmedia エンタープライズ読者の平均年齢は42.1歳、95%が男性だそうです。ちなみに、わたしも同じセグメントに属しています。そんな皆さんに今回ご紹介するのは、『いま20代女性はなぜ40代男性に惹かれるのか』(講談社、大屋洋子著)。わたしを含む読者の大多数が思わず手に取ってしまいそうなタイトル、そしていろいろと考えさせてくれる、ユニークな本です。

世代間の隔たりは広がっている?

いま20代女性はなぜ40代男性に惹かれるのか

 先日ビジネススクールでの講義を終えたわたしのところに、(おそらく)40代後半の受講生が質問に来てくださいました。あるIT企業の営業部長であるその方の目下の悩みは、新人教育とのこと。新人諸君の思考力をどう高めればよいか分からない、そもそもやる気をどう駆り立てればよいのか分からない、というのです。

 ちょっとびっくりしました。というのも、わたしが若手向けの社内研修設計のお手伝いをしている別の会社の営業部長も全く同じことをおっしゃっていたからです。世代間の価値観のズレは常に存在するとは言われるものの、今年ほどその話題が出てきたと感じることはありません。限られた見聞の範囲内ではありますが、世代間の隔たりは広がっているようです。だとすれば、何がどう違うのか。マネジャーなら知っておきたいところです。

 本書の著者は電通総研のスーパーバイザーであり、専門はウェルネス(広義の健康)市場の分析です。属する研究所では、心身の健康、食育から美容まで、生活の健やかさに影響する因子を幅広く観察しているようです。

 本書のテーマである“恋愛”も、精神的な健康に影響を及ぼす因子です。とりわけ著者のアンテナに引っかかったのが、20代女性と40代男性の異世代恋愛が増えているという現象。電通が実施している1万人規模の調査結果から、その背後にある構造的な要因をつかもうとしています。

 まずは章立てをご覧ください。タイトルには登場していませんが、20、30代男性や40代女性についても分析したうえで、なぜ20代女性と40代男性の愛で恋愛感情が生まれるのかという結論を導いています。

はじめに---現代人の抱える心の問題とその先にある幸せ

序章  変わりゆく日本人の恋愛観

第一章 ストレス解消のための恋愛

第二章 オトコの壁とオンナの壁

第三章 “受け入れられたい”20代女性

第四章 “安らぎたい”40代男性

第五章 “いつまでも女でいたい”40代女性

第六章 “傷つきやすい”20代男性

第七章 “恋愛市場にいない”30代男性

終章  20代女性と40代男性の必然

おわりに---幸せと健康と恋愛の関係


 人の言動を「○○世代だから」という理由だけで理解するのは、一面的です。しかし、その人が属した時代背景が個人的なものの見方に影響を及ぼしているのは明らかでしょう。世代によって異なる価値観を知ろうと努めることで、マネジャーはメンバーの“やる気のスイッチ”にアクセスしやすくなるのではないでしょうか。

 本書から学べるのは世代ごとの恋愛観であり、仕事観ではありません。だからこそ、仕事でしか接点のない異世代メンバーの、ものの見方の根っこにあるものを考える有益な資料になります。

 “世代”や“上流下流”など、全体をセグメンテーションして語る本は、妥当性を担保するのが難しいところがあります。しかし本書では、調査結果に加えて豊富な事例、さらに著者の個人的な実感を加えて、ストーリーに説得力を持たせています。

“壁期”を乗り越える

 著者は、20代女性と40代男性が見方によっては同じ状況にあることを、人生の“壁期”という造語で表しています。

 人間だれしも、人生において一度は「壁」にぶつかり、大きな決断を迫られるときがある。自分の今後の人生について考え、決断しなければならない時期(ターニングポイント)、それが「壁期」です。


 女性は、結婚・出産といった大きな決断を迫られる時期があります。男性は、女性に比べると平坦ですが、「健康意識も、仕事におけるストレス度も、男性は四〇代にさしかかったあたりにピークを迎え」るとのこと。

 この2つの“壁期”世代は、それぞれが求めるもの(20代女性は「受け入れられたい」、40代男性は「安らぎたい」)を互いに与えあううえ、近年の恋愛観の変化やITツールの発達が、異世代恋愛のハードルを低くしている。ごく大ざっぱにまとめると、これが本書の仮説です。

 ちなみに、いわゆる“団塊ジュニア”をボリュームゾーンとする30代男性はどうなのか。この世代は40代以降とちがってバブル期を経験しておらず、また団塊世代の父親の多くが仕事漬けであった反動もあり、総じて堅実とのこと。故に異世代恋愛に踏みきるケースは少ないのでは、と推測されていました。

 恋愛の話は置いて(そこが読みたかったのに! という人にはすみません)、40代の“壁期”についてもう少し考えてみましょう。

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