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オルタナティブな生き方 宮沢純一さん:好きなことしかしないし、できない (1/2)

MURAMASAやビンゴピンボールなど、自分の好きやこだわりを愛情深くつづる『無事今日も終了です』を執筆する宮沢純一さんに、その半生を語ってもらった。


 ITmedia オルタナティブ・ブログ『無事今日も終了です』で、MURAMASAやビンゴピンボール、タイの情報や料理のレシピなど楽しい話題を提供している宮沢さん。一日の半分はコンピュータのことを考えているほどのコンピュータ好きであり、決して妥協しない厳しい姿勢で仕事に対峙するという宮沢さんの、こだわりと創造に満ちた半生を伺った。

自作したAppleII、6台

宮沢純一さん 『無事今日も終了です』 宮沢純一さん

 子どものころから数学かコンピュータで身を立てようと思っていました。数学が大好きで、わたしの唯一の得意科目だったんです。1番好きなのは整数問題。ああいう、解き方が無くてパズルのようなものが好きなのです。そういう意味で物理も好きです。物理もパズル的な要素がありますから。

 数学は好きですが、どうすれば数学で生きていけるか分からず、大学受験の前には、コンピュータで身を立てていこうと決めていました。

 AppleのAppleIIが発表されたのが高校生のときでした。大卒の初任給が10万円ぐらいだった時代に50万円もしたので、とても高校生のわたしの小遣いでは買えませんでしたけれど、大学に入れば自由にコンピュータ端末を触らせてもらえる。学生時代は、もっぱらアルバイトをしていました。お金をためては秋葉原に通い、安い中古部品を買って回路図を見ながら自分でAppleIIと同じものを組み立てていました。5、6台は作りましたよ。仲間うちで洋書を買っては貸し借りしながら独学で。おかげで苦手な英語も原書を読める程度にはなりました。

 卒業後は電子機器メーカーの研究開発センターに就職しました。その当時、日本のコンピュータはアメリカに後れを取っていたので、何となく頑張らなきゃと思ったのを覚えています。ハードウェアの基礎研究に従事し、3年勤めたところで辞めました。

 自分が下っ端のうちはいいのですが、後輩ができると教える立場になりますよね。わたしはどちらかというと、チームでの共同作業よりも自分一人で全部作りたいタイプ。結構自由にやらせてもらえてそれはそれで楽しかったのですが、スケジュールがタイトで結構ハードな毎日でもあったので、少しノンビリしたいというのと、もっと自由な発想で何かを作りたいという気持ちもあって。父が通信関係の技術下請け会社をやっていたこともあり、その手伝いでもしながら好きなことをやるのもいいかなと思い、実家に帰りました。わたしは一人っ子だったもので父は歓迎してくれました。

会社の名刺を持って自作ソフトを売り込み

 家に帰ってから必要な国家資格も取ったのですけれど、実際には父の仕事を手伝うよりも、自分で好きなプログラムを作ってはいろいろな会社に持ち込んでいました。DOSのスイッチャーなどを作りました。父は苦労してきた人なので「無理はするな」と言うだけで、好きなようにやらせてくれました。

 そのうち、ある会社から「こういうソフトを作ってくれないか」という依頼が来たのです。「分かりました。いつまでですか?」「2週間」

 どう考えても5人で2カ月はかかる仕事ですが、父の会社の名前で営業していたので向こうはまさかわたしが一人で作っているとは思ってないわけです。「No」とは言えません。それから2週間徹夜。追加要望もあり納期は数日遅れましたが、何とかお客さまの満足するものを作り上げました。本当に寝られませんでした(笑)。おかげで結構いいもうけになりましたけれど。

 その辺りから「あそこは何かを作る」といううわさが口コミで広がり、少しずつ注文が入るようになりました。仕事を手伝ってくれる社員も雇い入れるようになったのですが、彼らが一人前になるまではわたしががんばって稼がないといけない。2年位かなぁ、ほとんど一人で仕事をこなして養っていました。若いとはいえ、今考えると無茶をしましたね。

 そのうち社員が育ち人数も増えてきたので、受注開発の合間にパッケージソフトの企画開発も始めました。最初に作ったソフトはDOS上で動くリモートコントロールシステム。当時の遅いモデムでもWindowsがコントロールできるもので、結構売れました。

 お客さまがニーズを持っていれば、話は簡単。「できる」というだけです。「できない」とは決して言いません。理論的に不可能な場合はもちろん除きますけれど。そうでないと、うちみたいに小さくて、ましてや地方にある会社は生き残っていけませんから。他社ができないことをやるしかない。おかげで一層ニッチな技術が身に付きました。

頭の中は一日中コンピュータのことばかり!?

 わたしは決して器用な方ではありません。好きなことしかしないし、できないんです。これまでの人生、半分以上はコンピュータに時間を費やしていますし、今でも一日中コンピュータのことばかり考えています。そういう意味ではプライベートがない人生といえるかもしれません。

 わたしは、何かをやるときに大事なのは、その何かにどれだけ集中できるか、どれだけ考えられるかではないかと思っているのです。自分に100の力があるとして、そのうちの50を費やすか90を費やすかで結果が違ってくる。100のうち90や95を費やせば、わたしより優秀な150の人が80を費やすよりいいものができると。

 だから仕事に関しては、一切妥協しません。唯一我慢できるのは締め切りが来たとき。締め切りはお客様との約束ですから仕方がないけれど、あとは社員が許してくれと言っても必ずやらせます。うちみたいな会社に失敗は許されません。一度でもできないことがあると、われわれには命取りになるからです。

 妥協しないのは、目的ありきの場合と新しい技術発見の場合と両方あるのですが、それが合致した場合は本当にうれしい。だから社員も、うちの仕事はきついけれど面白いと言ってくれます。わたしも含めて、われわれにしかできない仕事をしようと社員は思ってくれています。

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