働きやすい職場は「問い掛け」から生まれるビジネスマンの不死身力(1/2 ページ)

もっと自分で考えて仕事をしてほしい――。仲間に対してこう思ったことはないだろうか。自発的な行動を導くには、相手の気付きを生み出す「問い掛け」がキーになる。

» 2010年03月20日 08時30分 公開
[竹内義晴,ITmedia]

少し考え方を変えることで、仕事を楽しく充実したものに。「ビジネスマンの不死身力」では、そのノウハウをお伝えします。


協力し合える職場に大切な「自発性」

 周囲の仲間に対して、もっと自分で考えて仕事をしてほしいと思ったことはないだろうか。一人一人が自発的に考え、行動してくれれば、一方的な指示や命令がなくなる。仕事に集中でき、新しいアイデアを出すと仲間から即座に提案が返ってくる――。こんな活発な職場なら、一人で考え込むこともなくなるだろう。

 だが、実際はそうはいかない。自分で考えようとせずに、細かいことまで質問をされる。そのたびに仕事が止まり、最後には「自分でやった方が早い」という気持ちになってしまう。負荷は一向に減らず、残業時間だけが増えるばかり……。こんな環境にいる方も少なくないはずだ。

 特定の人が頑張るのではなく、一人一人が自発的に行動してこそ、お互いが協力できる「働きやすい職場」が生み出せる。今回は「問い掛ける」をテーマに、仲間が自発的に行動するようになる方法をお伝えしたい。

著者より

このたび、『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』という本を上梓しました。本連載「ビジネスマンの不死身力」では、本書の内容に触れながら、職場を変える「会話の工夫」をお伝えします。会話で職場を変えるための鍵は、「伝える」「褒める」「問い掛ける」「聞く」の4つです。書籍と連動した「すぐに実践できる会話の工夫」を4回にわたり掲載していきます。拙著では、わたし自身の試行錯誤の体験を基に、現場ですぐに使える内容を紹介しています。序章は出版社のWebサイトで公開しています。


自発的な行動を生む「気付き」

 周りにいる人に自発的な行動を促す場合、あなたならどんな言葉を掛けるだろうか。「もっと自発的に行動しなさい」と直接的に伝えても、相手は行動を起こしてくれないものである。

 そこで、伝え方を少し工夫してみよう。自発的という言葉にあるように、自ら行動するには、きっかけとなる「発火装置」が必要だ。それが「気付き」である。

 例えば、整理整頓されていない職場を見ると、あなたは「あっ、散らかっているな」と思う。この気付きによって、片付けるという行動のきっかけが生まれる。気付きは瞬間的に起こったり、無意識に目が行ったりするものだ。「ハッとした」「ふと思った」といった感覚を抱くものとも言い換えられる。

気付きは起こるもの

 一方で、散らかっている職場を見ても、それに気付かない人もいる。当然、自発的な行動のきっかけは生まれない。

 それが職場の仲間なら、「あの人にも気が付いてほしい」と願うだろう。思わず「なぜ気が付かないの」と言いたくなる気持ちもよく分かる。場合によっては、「あの人は自分から気付けない人だ」とレッテルを張ってしまうかもしれない、

 だが、気付きは「ハッ」と起こるものであり、意識して生じるものではない。「なぜ気付かないの?」と聞いても、相手は気付いていないのだ。答えに窮して「意識が足りませんでした」と返すしかできないだろう。

 気付きは自分から「起こす」ものではなく、何かをきっかけにして「起こる」ものだ。意識しても気付けないのは、実は仕方がないことなのである。

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