ものごとの伝え方1つで、それを受け取った人の行動や考えは大きく変わる。もしあなたの職場がコミュニケーション不足でギスギスしていても、ほんの少しの会話の工夫で「働きやすい職場」を作ることができる。
少し考え方を変えることで、仕事を楽しく充実したものに。「ビジネスマンの不死身力」では、そのノウハウをお伝えします。
技術やサービスの変化が著しく、スピードと成果が求められるのがIT業界だ。ここで活躍している皆さまの多くは、日常の業務をこなすだけでも大変と考えているだろう。
本当は一生懸命仕事に打ち込み、成果を出したい。でも現実は納期や成果へのプレッシャーが掛かり、メンバー間のコミュニケーションは不足気味。ほかのメンバーを気遣う余裕もなく、みんな自分のことで精一杯。これでは仕事のモチベーションも上がらない……。こんな「働きにくい職場」に直面してお悩みの方も多いだろう。
チームの雰囲気作りにリーダーが果たす役割は大きい。だが、チームがまとまるきっかけは、ちょっとした気遣いができる人やムードメーカーといった「リーダー以外の人」でも生み出せる。
「自分や仲間が働きやすい職場にするために、できることをしたい」。こんな思いを持つ方がすぐに実践できるのが、会話の工夫だ。ほんの少しの気遣いが相手の信頼感を高め、お互いが協力しあえる職場を形作っていく。
会話の工夫で職場を変えるための鍵は、「伝える」「褒める」「問い掛ける」「聞く」の4つだ。すぐに実践できる会話の工夫を、テーマごとに4回に分けてお伝えしたい。
このたび、『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』という本を上梓しました。本連載「ビジネスマンの不死身力」では、本書の内容に触れながら、職場を変える「会話の工夫」をお伝えします。会話で職場を変えるための鍵は、「伝える」「褒める」「問い掛ける」「聞く」の4つです。書籍と連動した「すぐに実践できる会話の工夫」を4回にわたり掲載していきます。拙著では、わたし自身の試行錯誤の体験を基に、現場ですぐに使える内容を紹介しています。序章は出版社のWebサイトで公開しています。
第1回目のテーマは「自分の考えていることを相手に伝える」ための考え方や会話の工夫だ。
職場で働くメンバーは、性格やものの考え方、仕事のスキルの高さなどでさまざまだ。中には性格はいいものの、スキルが不足気味という方もいるだろう。このような仲間がいる場合、リーダーは「もっとスキルを身に付け、仕事の精度を上げてほしい」と伝える必要がある。
例えば提出された業務報告書の内容の意図がつかみにくい場合、あなたならどう伝えるだろうか? 一般的には、「この報告書じゃ意味が分からないよ。報告書を書くスキルもないのか? もう少し焦点を絞って書きなさい」というように、問題点を指摘してしまうだろう。
指摘する側は「よりよくしてほしい」という思いで仲間に伝えるが、これを受け取る相手は「今度は絶対うまく書いてみせる」と意気込む人ばかりではない。多くは「また失敗してしまった。自分はスキルが足りない駄目な人間なのかな」と考え、落ち込んでしまう。
逆に、相手との関係を気遣い、問題点を指摘できない人も多い。だが小さなミスは、大きな問題を引き起こす恐れがある。問題点を相手に的確に伝え、改善を促すのは、取り返しのつかない失敗を防ぐためにも大切なことである。
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