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» 2010年03月07日 08時45分 公開

ビジネスマンの不死身力:職場を変える「会話のチカラ」 (2/2)

[竹内義晴,ITmedia]
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足し算指導法を使う

 改善点を正確に伝え、相手のやる気までを引き出すいい方法がある。改善点を肯定的に伝えるのだ。わたしはこの伝え方を「足し算指導法」と呼んでいる。

 先ほどの業務報告書の問題点を指摘する場合なら、「よく書けているね。さらによくするなら、焦点を絞るともっとよくなるよ」と伝える。「よく書けているね」は、相手へのねぎらい肯定的な評価を伝える表現だ。これにより、相手は安心し、仕事に対する前向きな意欲を持てる。さらに「○○したら、もっとよくなる」という提案を加えることで、相手は「よりよくなるなら、やってみよう」という気持ちになる。

 問題点を直接指摘すると、相手のやる気は著しく下がってしまう。「今の状態からさらによくなる」というメッセージを伝えることで、相手は自然と前向きな気持ちになることができる。これが足し算指導法のポイントだ。

やる気を引き出すためのねぎらい

 わたしが担当している企業向けの人材育成研修では、受講者にスキルを身に付けてもらうことを目標としている。受講者に学びの意識を持ってもらうためは、いい点を積極的に褒め、やる気を引き出す必要がある。一方で、問題点を的確に指摘して改善を促さなければ、受講者がスキルを身につける機会を失ってしまう。ここで問題点について「そのやり方は間違っています。本来ならば○○にすべきです」とできていない面を直接指摘すると、相手の学ぶ意欲が消えてしまいかねない。

 ここで足し算指導法の活用を頭に浮かべる。そして「これは素晴らしいですね。さらによくするなら、○○を加えるともっとよくなりますよ」と伝える。実際、素晴らしいとねぎらった部分が、求めている水準の9割を達している場合もあれば、1割に満たない時もある。だが、まずは良い点を伝えて相手をねぎらうことで、受講者の安心感とやる気を引き出すことにつながるのだ。

 明らかなスキル不足で、「これは素晴らしい」と伝えるのがわざとらしい場合は、「お疲れでした」という言葉を添えてみよう。「お疲れ様でした。今のも悪くはありませんが、さらによくするなら、○○を加えるともっとよくなりますよ」とつなげると、相手へのねぎらいの意味を含みながら、改善点を伝えられる。

 足し算指導法は、指導側の遠慮をなくすとともに、受講者のやる気を引き出せるのだ。


 相手のアウトプットの問題点を指摘し、改善を促すのはとても大切なことだ。その場合、感情的に「なぜ、こんなこともできないんだ」と言いたくなる。だが少し意識して、ねぎらいの気持ちを伝えてみよう。

 もし、これまでの伝え方や指導がチームやメンバーに浸透しなかった場合、会話の工夫を考える余地がある。相手へのほんの少しの配慮は、仲間間での信頼感を高め、相手のやる気を導き出せる。「伝える」方法を意識したあなたの言葉は、結果として働きやすい職場作りにもつながっていくだろう。

著者プロフィール:竹内義晴(たけうちよしはる)

 竹内義晴

テイクウェーブ代表。ビジネスコーチ、人財育成コンサルタント。自動車メーカー勤務、ソフトウェア開発エンジニア、同管理職を経て、現職。エンジニア時代に仕事の過大なプレッシャーを受け、仕事や自分の在り方を模索し始める。管理職となり、自分が辛かった経験から「どうしたら、ワクワク働ける職場が作れるのか?」と悩んだ末、コーチングや心理学を学ぶ。ちょっとした会話の工夫によって、周りの仲間が明るくなり、自分自身も変わっていくことを実感。その体験を基に、Webや新聞などで幅広い執筆活動を行っている。アイティメディア「オルタナティブ・ブログ」の「竹内義晴の、しごとのみらい」で、組織作りやコミュニケーション、個人のライフワークについて執筆中。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』がある。




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