苦境を乗り越える「感謝力」の磨き方ビジネスマンの不死身力(1/2 ページ)

感謝の気持ちが企業に浸透すれば、社員の仕事への取り組み方や顧客との接し方が変わる。「感謝力」を高めるために、経営層やリーダーがすべきことは何だろうか。

» 2010年01月23日 00時00分 公開
[竹内義晴,ITmedia]

少し考え方を変えることで、仕事を楽しく充実したものに。「ビジネスマンの不死身力」では、そのノウハウをお伝えします。


 先日、経営再建が行われている日本航空(JAL)の報道を見た。JALの社員が搭乗者に手書きのメッセージカードを配りながら感謝の気持ちを一人一人に伝えており、搭乗者から「頑張って」と声をかけられるシーンもあった。JALの社員も、厳しい今だからこそ、こうした言葉に心の底から勇気をもらい、サービスの提供者/利用者という枠を超えた信頼関係を顧客と築けるのではないか。

 あらゆる企業にとって、普段から社員の感謝の気持ちを伝えて、顧客との信頼関係を築くことは1つの命題だ、顧客への感謝の気持ちが重要と考える経営者や現場のリーダーも多い。だが「感謝しなさい」と伝えても、社員やメンバーがそれをすぐに実践できるものでもない。

 感謝の心をはぐくむために、礼儀作法やマナーの研修を強化する企業もある。研修を通じて基本を身に付けることは大事だが、きれいなお辞儀ができても、内心「めんどくさい」と思っていては、感謝の気持ちが芽生えたとはいえない。感謝することを形だけ強制しても、それは顧客には伝わらないのだ。

 感謝の気持ちが企業に浸透すれば、社員の仕事への取り組み方や顧客との接し方が変わる。「感謝力」を高めるために、経営層やリーダーがすべきことは何だろうか。

感謝とは何か?

 ここで、感謝とは一体何かを考えてみたい。

 まずは、あなたが今までに「うれしい」と感じた経験を思い出してみてほしい。他者から親切にされた時、あなたは「感謝しよう」「ありがたいと思おう」とは考えなかったはずだ。

 本当の感謝とは、「感謝しなければいけない」と頭で考えている状態ではなく、うれしい、ありがたいという感情が自然に内面から芽生えてくる状態を指す。感謝とは、気持ちを体で「感じる」ことなのだ。

社員に感謝の気持ちを感じてもらうには

 もし社員やプロジェクトメンバーに顧客への感謝の心を持ってほしいと考えた場合、あなたならどうするだろうか。

 多くの人は、「顧客に感謝しなさい」と直接的に伝えるだろう。これを聞いた社員やメンバーは「感謝しなければいけない」と考え出すか、「言われなくても分かってる。うるさいな」という反抗心が芽生えてしまう。これでは感謝の気持ちは生まれない。

 感じる力を高めるには、社員がどのような時に、うれしい、ありがたいと感じるかを考えてみるといい。

 例えば、社員のサービスで顧客がどんな喜びを感じているのかを調べ、社員やメンバーに伝えてみるのだ。自分の仕事が顧客から認められていることを知ると、うれしさやありがたさを自然と感じるものだ。冒頭のJALのように、顧客と直接言葉を交わして感謝の気持ちを感じる機会を作ってみるのもいい。過去の実績に加え、社員がこれから企画するサービスや開発する製品によって、顧客がどう感じ、どんなうれしい評価がもらえるのかを想像してもらうのもいいだろう。

 組織をたばねるリーダーがこうした取り組みを率先することで、メンバーの感謝の心は自然と育っていく。これを繰り返して習慣化することで、企業全体の感謝力も上がっていくだろう。

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