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» 2010年05月20日 18時50分 UPDATE

クラウドワーカーのマストツール、SugarSyncが本格上陸

Dropboxが強力な存在感を放つオンラインストレージサービス市場だが、洗練された価値を提供するSugarSyncが日本でのビジネスを本格的に展開する。企業のファイルサーバなどの代替として活用されるかもしれない。

[西尾泰三,ITmedia]
tnfig1.png 米SugarSyncのローラ・イーシーズCEO

 さまざまなデバイスを活用して作業するユーザーにとって、データの同期・共有・バックアップといった処理は重要な技術だ。近年は、クラウドと結びついた使い勝手のよいオンラインストレージサービスがコンシューマーの市場を中心に幾つも登場している。

 その代表格はDropboxだが、この市場には幾つもの競合サービスが存在する。例えばIT業界の巨人であるMicrosoftやAppleは、それぞれSkyDrive、MobileMeを提供しているし、少しITに詳しい方ならZumoDriveなども知っているだろう。

 そんな中、SugarSyncというオンラインストレージサービスに注目が集まりつつある。SugarSyncもDropboxと同様、データの同期やバックアップをクラウドを通じて行うサービスで、専用のクライアントソフトウェアやWebインタフェースから、複数のPC間でデータを同期できる。また、iPad、iPhone、Android、Blackberry、Windows Mobileといったモバイルプラットフォームも広範囲にサポートするなど、Dropboxが有していない機能/サービスをきめ細やかに提供することで、クラウドを積極的に利用して業務を行う“クラウドワーカー”のニーズに応えている。

 5月20日に開催された記者会見では、米SugarSyncのローラ・イーシーズCEOが、(SugarSync)ユーザーの8%を占めるという日本市場に対し、SugarSyncツールの日本語版を提供することを発表した。

 SugarSyncもDropboxも、無料版でユーザーを引きつけ、機能などで差別化した有料版を提供することで収益を上げる、いわゆる「フリーミアム」なビジネスモデルだ。SugarSyncは、2Gバイトが利用可能な無償版(同期できるPCは2台。ただしモバイル端末などは台数に含まれない)を用意する一方で、個人向け有償版では同期台数制限を設けず、30Gバイトから500Gバイトまで分けられた5つのプランを用意、企業向けには100Gバイト単位で最大2Tバイトまで利用可能なプランを用意している。SugarSyncは同サービスの利用者数は明らかにしていないが、すでにデータ総量は2ペタバイトを突破、1日当たり5Tバイト増加していると説明している。

 SugarSyncとDropboxの大きな違いは、その柔軟性にある。Dropboxでは「My Dropbox」という決まったフォルダ以下を同期するというシンプルなサービスだが、SugarSyncは同期するフォルダを自由に設定できる。一見するとDropboxと変わらないように思えるかもしれないが、使い込んでいくとその価値が分かってくる。例えば、作業中のデータを一時的にデスクトップに置くユーザーは少なくないが、こうしたケースではSugarSyncの強みが生きてくる。デスクトップを同期するように指定しておけば、どの環境でもデスクトップに置かれたファイルが参照できる。また、フォルダごとに同期設定が行えるということは、サイズの大きなファイルが多いフォルダなどを同期対象から外すことも容易で、Dropboxのように固定のフォルダで同期させようとする場合と比べてかゆいところに手の届く設定が行える。

 企業向けのプランでは、従業員ごとにアカウントを設定することでストレージ限度を個別に設定できるほか、「表示のみ」「編集・追加」などのアクセス権限やパスワードの設定も用意されている。同期の速度などは慎重に検討すべきだが、ファイルサーバの代替となり得る機能を備えており、モバイルプラットフォームなどの対応を含めて考えると、新規にファイルサーバを構築するより有益なものになるケースもあるだろう。

 ただ、企業での利用を想定すると、セキュリティやサポートは気になるところだ。ファイルのアップロード/ダウンロードはSSL/TLSを用い、SugarSyncのデータセンター上では、128ビットのAESを用いたEFS(Encrypting File System)が構築されており、セキュリティについてはある程度担保されているが、現時点で提供されるサポートは英語による電話サポートのみであり、そこが懸念材料となる。なお、日本法人の立ち上げについてイーシーズ氏は「検討している」と答えるにとどめた。

 今後の展開としては、マルチプラットフォーム化、特にモバイルプラットフォームへの対応を強化しつつ、その一方でAPIを開放していく考えだ。APIは「Platform API」と「Android Cloud API」の2種類を用意、どちらもSugarSyncのデータにアクセスするためのAPIだが、後者はプラットフォームを固定したAPIだ。イーシーズ氏は、モバイルプラットフォームの中では、Androidの躍進が目立つと話している。セッション数でいえば、“毎週”5%増の伸びを見せているというAndroidに期待したい考えがうかがえる。

 現時点における開発の優先度、特に日本語版のリリースについてはiPhone/iPad/iPhone用を優先する姿勢だ。今回日本語版がリリースされたのは、いわゆるPC向けのクライアントソフト、つまりWindows版とMac OS X版である。今後は各モバイルプラットフォーム向けに提供されているSugarSyncアプリケーションの日本語化が図られていくが、iPad/iPhone版を間もなく提供予定とし、Android版やBlackBerry版は2010年中のリリース予定とした。

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