2011年に新gTLDの運用開始、ベリサインが導入支援の新サービス

2011年後半から新たなgTLDが運用されるのに合せて、日本ベリサインが新gTLDの導入を支援する企業向けコンサルティングサービスを開始した。

» 2010年06月18日 15時45分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 日本ベリサインは6月18日、2011年後半から運用が開始される新たなgTLD(generic Top Level Domain)に合わせ、企業や団体向けにgTLD導入を支援するコンサルティングサービスを提供すると発表した。オーストラリアのレジストラ企業Melbourne ITおよび米VeriSignと共同で提供する。

スケジュール 新gTLD運用までのスケジュールと日本ベリサインのコンサルティングサービス

 新gTLDでは、一般的な文字列の使用に関する制限が大幅に緩和されるため、企業名や商品名、地域名、物品名といった名称を使用できるようになる。gTLDを管理するInternet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)は、9月にも新gTLDの運用方針を決定し、2011年後半以降に運用を開始したいとしている。

 日本ベリサインの新サービスは、新gTLDの取得や運用方針に関する戦略の立案、ICANNへの申請支援、運用支援、ブランド悪用の監視といったメニューで構成される。3社が新サービスを共同で提供する理由について日本ベリサインは、米VeriSignが「.com」「.net」のgTLDを100%の可用性で運用していること、Melbourne ITがブランドマネジメントの実績を有しているとことを挙げ、各社のノウハウを組み合わせることで新gTLDの導入を目指す企業を支援できると説明する。

 Melbourne ITが今年5月に米国のインターネットユーザー548人を対象に実施した調査では、60%がURLを直接入力してWebサイトにアクセスすると回答した。日本ベリサイン戦略事業室の宮崎健太郎マネジャーは、「この結果から、新gTLDが企業や団体のオンライン上での活動に大きく影響すると見ている。各社のノウハウを融合することで、企業や団体のWebマーケティングやブランディング活動を支援したい」と話した。

新gTLDのメリットと注意点

 新gTLDを企業や団体が導入することのメリットと注意点について、ICANNの理事を務めるMelbourne ITの最高戦略責任者、ブルース・トンキン氏が解説した。

 新gTLDでは「.itmedia」や「.itmediaenterprise」にように、任意の文字列を使用できるため、企業や組織がオンライン上でのブランディングを強化できるようになる。Webサイト利用者にもドメインが覚えやすいものになり、アクセスしたWebサイトが正式なものであるかを判断しやすくなる。DNS上でのドメインリストが細分化されるため、ユーザーがDNSへ照会したリクエストの処理時間が短くなり、Webサイトへのアクセスが早くなるといったメリットもある。

イメージ 新gTLDの利用イメージ

 使用できる文字数は従来と同じ63文字までだが、Unicodeに対応するため英語以外の言語も利用できる。また、セカンドレベルドメインの利用はgTLDの利用者が独自に行える。例えば「itmedia.co.jp/enterprise」を「enterprise.itmedia」や「エンタープライズ.アイティメディア」と表記することが可能だ。

 トンキン氏によれば、特に認知度の高いブランドや、雑誌・テレビなどとインターネットを組み合わせたクロスメディアマーケティングを展開している場合、ブランド名が一般的な名称であるといった企業や団体での新gTLDの積極的な導入が期待されるという。

 だが新gTLDの申請において、複数の組織が同一文字列の使用を希望することが予想される。また文字列の使用をめぐって、新gTLDを申請した組織と申請をしていない組織との間で調整を図る必要性も生じるだろう。

トンキン氏 ICANNの理事を務めるMelbourne ITのトンキン氏

 この点についてICANNは、専門家チームによる検討作業を踏まえて申請された内容を公表し、パブリックコメントを募集する予定だという。さらに、専門家チームの見解とパブリックコメントの意見を取りまとめて評価レポートを公開する。この段階で異議を申し立てることができる。

 同一文字列の使用を希望する組織が民間企業と公共団体だった場合、ICANNでは公共団体の申請を優先的に認める方針であるという。また、2社以上の民間企業が同一文字列の使用を希望した場合は、企業同士で協議して調整を図る。交渉がまとまらない場合はオークションを実施するとしている。

 トンキン氏は、「異議申し立て機関は数十日間なので、ブランドを保護したいと考える組織は申請状況を注意深く見ていく必要があるだろう」とアドバイスしている。

 ICANNでは今年末までに新gTLDの申請ガイドブックを公表する予定で、2011年3〜4月ごろに申請の受付を開始するとしている。ICANNへの申請費用は18万5000ドル程度、運用管理用は年間2万5000ドル程度になる。5万以上のセカンドレベルドメインを登録している場合は、1ドメイン当たり年間25セントが追加される。日本ベリサインのコンサルティングサービスの費用は個別見積りとなっている。

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