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» 2010年08月17日 08時00分 UPDATE

伴大作の木漏れ日:モンスター・メインフレーム (1/3)

日本IBMがメインフレームの新版「IBM zEnterprise 196」を発表した。本コラムではメインフレームを取り巻く環境の変化や各ベンダーの戦略をひも解きたい。

[伴大作,ITmedia]

 「モンスター」という言葉を聞いて、最初に何を思い浮かべるだろうか。僕は「宇宙怪獣」を思い描いた。人それぞれが描くイメージに共通するのは、「巨大」という概念だ。

 7月23日、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)が発表したフラッグシップマシン「IBM zEnterprise 196(z196)」は、まさにモンスターという称号にふさわしいメインフレームだ。

 僕は以前、「IBM System Storage DS8700」についてこのコラムで取り上げた(3億4000万円のストレージ)。その後、IsilonやOracleの「Exadata」について取材を重ねるうちに、ストレージであれ、プロセッサであれ、ますます巨大化するのが今の時流なのだろうかと感じた。

凄まじい高性能、時代を画すという意味

 z196の記者会見で僕はIBMに「このマシンはクラウドですか」と尋ねた。即座に「クラウドコンピュータです」というz196への情熱溢れる回答が返ってきた。

IBM zEnterprise 196 IBM zEnterprise 196

 z196は既にさまざまな媒体で報道されているので、このコラムでは詳細には触れないが、メインフレームの部分だけを見れば、前の世代である「z10 Enterprise Server」と比べてCPU性能が20%向上し、1秒間に処理できる命令の数が70%以上増加するなど、さまざまな改良が加えられている。しかし、今のコンピュータ環境における一般的な開発レベルを考えると、2年間における性能向上という点では物足りない。

 ただし、z196は今までのメインフレームとまったく異なる点がある。それはz196と同時に発表されたブレードサーバを収容する「IBM zEnterprise BladeCenter Extension(zBX)」と両者を協調させて一元的に管理する「zEnterprise Unified Resource Manager」だ。

メインフレームの変遷

 ミッションクリティカルなアプリケーションの実行環境として、メインフレームの人気は相変わらず根強い。しかし、その運用や保守には膨大な費用が掛かる。

 1990年代以降、メインフレームの販売台数は減り続けている。今やメインフレームの開発、生産を手掛けるのは、米国ではIBM、日本では富士通やNECなど一部の企業に限られている(日立製作所はCPUの自社生産を止め、IBMのPOWERを使用したメインフレームを提供している)。

 海外の大手ユーザー企業の多くはIBM製品を使用している。日本におけるメインフレームのユーザーは、国内企業に限られているといっても過言ではない。日本に複数のメインフレームベンダーが存在するのは、日本市場が閉ざされていることの象徴だ。日本のユーザー企業は、海外と比較してかなり高いマシンを購入せざるをえない状況に置かれている。

 1990年代以降、企業はさまざまな用途でコンピュータを導入した。社員が日常使用するPCに加え、特に情報系や物流系のシステム、メインフレームに蓄積された情報を分析するアプリケーションやCRM(顧客関係管理)などの導入も進んだ。

 21世紀に入るとインターネットが台頭し、Web系やコラボレーションアプリケーションの導入にも拍車が掛かった。これらのアプリケーションの大半はUNIXやWindows、Linux上で動作する。この動きの背後には、高価なメインフレームの導入に対する反省があるのは確かだ。

 当然、種々のシステムには開発担当者が存在する。各担当者がシステムの要件定義、適切なハードウェア/ソフトウェアの選定を行い、細かな開発はシステムインテグレーターに委託する。その結果、企業の中にはさまざまなシステムが入り乱れ、誰も全体を把握できなくなっている。「誰も管理する人がいないが、多くのエンドユーザーが利用し続けている」サーバも数多く存在するだろう。

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