ニュース
» 2010年09月07日 19時09分 UPDATE

訴訟に必要な電子証拠の収集作業を効率化――シマンテックが新製品

シマンテックは電子メール/コンテンツアーカイブ製品「Symantec Enterprise Vault」の最新版を発表した。UBICがこの新製品に対応した訴訟対応支援サービスを提供する。

[國谷武史,ITmedia]

 シマンテックとUBICは9月7日、電子メール/コンテンツアーカイブ製品の最新版「Symantec Enterprise Vault 9.0」と、Enterprise Vaultを利用した訴訟対応支援サービス「UBIC Enterprise eDiscovery Solution」を発表した。新サービスは同日から、Symantec Enterprise Vault 9.0は17日から提供を開始する。

 Symantec Enterprise Vault 9.0では、グローバル展開する企業が海外で直面する特許侵害や製造責任などに関する民事訴訟の対応を支援するオプションのツール群「Enterprise Vault E-Discovery Suite」が新たに提供される。米国の民事訴訟では電子的な証拠の開示(通称「e-Discovery」)が義務付けられており、ツール群を活用することで証拠となり得る電子メールなどの発見や内容の精査といった作業を効率化できるとしている。

 例えばツール群に含まれる「Discovery Accelerator 9.0」では、内容が重複するデータを排除できる。また「Discovery Collector」(国内提供は未定)では、e-Discoveryに対応したロジックに基づいて、証拠となり得るデータをファイルサーバやPC、ストレージなどから自動的に収集する。

symantecev01.jpg Symantec Enterprise Vault 9.0の画面

 UBICの新サービスでは、同社の電子証拠開示支援システム「Lit i View」とEnterprise Vaultの連携を強化することで、証拠の収集から精査、裁判所への提出までの作業工数の削減と対応時間の短縮化が可能になるとしている。

symantecev02.jpg 「UBIC Enterprise eDiscovery Solution」サービスのイメージ

 このほか、シマンテックはMicrosoft Exchange Onlineのユーザー向けにクラウド上の電子メールデータをオンプレミス(自社保有)のシステムにアーカイブできる仕組みや、中堅・中小企業向けバックアップ/リカバリ製品「NetBackup」のユーザー向けには米Nirvanixのオンラインストレージサービスにデータをバックアップする仕組みを提供することも併せて発表した。

海外市場で高まる訴訟リスク

 米国に進出した企業の訴訟対応を支援するUBICの池上成朝副社長によると、民事訴訟での証拠開示は当事者企業にとって大きな負担になっているという。近年は企業で取り扱われる情報の電子化が進み、訴訟に備えて保存されるデータ量も増加しつつある。

 開示に必要なデータの収集と精査に関しては、数十人から数百人規模の弁護士を臨時に雇用し、数週間程度をかけて実際に証拠としてとりまとめるケースが多い。人件費や作業場所の賃料といった巨額なコストも発生する。シマンテックの新製品は、こうした作業の効率化とコスト削減を支援するのが狙いだという。

 実際に米Symantecでは自社で製品を利用し、精査に必要なデータ量を平均で83%削減した。ある訴訟案件ではDiscovery Acceleratorを使用して約3万5000通の電子メールの重複排除を行ったところ、約2700通にまで削減できた。精査のための弁護士の費用も約18万5000ドルから約1万4000ドルになった。

symantecev03.jpg 牧野二郎弁護士

 国内の状況について、牧野総合法律事務所の牧野二郎弁護士は、電子証拠の開示を法律などで義務化する動きはないものの、実際には米国と同様に企業での情報化が進んでいるために、膨大な量の電子メールなどから証拠を取りまとめる作業が大きな負担になっていると話す。こうした作業は、まず社内の法務担当者が行い、ある程度内容をまとめたものを弁護士がさらに精査する。だが限られた人数と時間で行わなければならず、十分な証拠をそろえることができない場合がある。

 「勝訴できる可能性があっても、十分な証拠を得られずに敗訴してしまうケースが少なくない。当事者の企業や弁護士が必要な証拠を短時間で効率良く取りまとめることができる方法が求められている」(牧野弁護士)

symantecev04.jpg 牧野弁護士が指摘する電子的な証拠の開示に関する国内の課題

 欧州各国でも米国のe-Discoveryに倣って法制化を検討する動きがあるほか、韓国や台湾ではe-Discoveryに詳しい弁護士が増えつつあるという。世界各国でITを活用した企業の訴訟対応の整備が進みつつあり、牧野弁護士は「グローバル展開を進める日本企業にとっても訴訟リスクは大きな課題であり、世界の企業と同様の取り組みを進めていただきたい」と語った。

企業向け情報を集約した「ITmedia エンタープライズ」も併せてチェック

過去のセキュリティニュース一覧はこちら

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -