電子メールアーカイブは企業に不可欠に――報告書が指摘

Radicati Groupの調査によると、法規制対応や訴訟対策としての電子メールアーカイブは企業にとってますます重要な役割を果たすことになる。

» 2007年05月02日 08時00分 公開
[eWEEK]
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 企業の電子メールアカウントのうち、将来のアクセス用にバックアップ/アーカイブ保存されているのは全体の約14%に過ぎないが、2011年までにこの数字は70%近くに増加する見込みだ――ストレージ業界に関する最新の調査で、こういった状況が明らかになった。

 カリフォルニア州パロアルトに本社を置くIT調査会社、Radicati Groupが4月30日に公表した調査結果によると、電子メールのアーカイビングベンダーおよびサービスプロバイダーの全世界での売り上げは2007年に13億ドル近くに達し、2011年には60億ドル以上に伸びる見通しだ。

 「人々は今日、以前よりも多くの数の(そしてデジタル的に重い)電子メールを送受信している」と報告書は指摘する。Radicatiの調査によると、2007年の時点で、企業の標準的なアカウントが生成するメールと添付ファイルは1営業日当たり約18Mバイト(1ユーザーに付き年間約4.5Gバイトの電子データ)である。

 「20011年には、この数字が1日当たり28Mバイト(年間6.7Gバイト)に増加する見込みだ」とRadicatiは述べている。

 Radicati Groupのサラ・ラディカティ社長兼CEOは、「法規制の対象となる企業の場合、すべての重要なメッセージのアーカイブ記録がなければ、重大な罰則を科せられる恐れがある」と語る。

 「今日、企業が電子メールメッセージを適切に保存する手段としては、インタラクティブ型アーカイビングソリューションに代わる適当な選択肢は存在しない」(同氏)

 このことは、現在進行中のIntelとAMDの独禁法訴訟でも立証された。Intelはこの訴訟で、連邦裁判所が証拠として判断した約1000通の電子メールを提出することができなかったのだ。

 OracleとSAPおよび連邦政府が関係して注目を集めたもう1つの訴訟も、企業経営者の間でこの問題への関心を呼び起こした。現在、多くの経営者が何らかの電子メールアーカイビングメカニズムを導入中(あるいは計画中)だ。

 「これらの訴訟は人々に考えさせるきっかけになったが、そういったことを抜きにしても、企業経営者は今日、重要な業務情報の多くが電子メールに含まれていることを認識しており、こういった情報を保存、検索するための効果的な手段を必要としている」とラディカティ氏は語る。

社内配備かホスティングサービスか

 アーカイビングソリューションを導入する方法は2つある。社内用製品を配備する方法とホスティングサービスを利用する方法である。ラディカティ氏が米eWEEKに語ったところによると、今のところ、すべてのアーカイビングソリューションの3分の2以上が社内配備用製品として販売されているという。

 「しかしアウトソーシングサービスへの関心も急速に高まっている」とラディカティ氏は話す。

 「以前は、アウトソーシングに関心を持っているのは、ITリソースの面で制約がある中堅・中小企業がほとんどだった。最近では、急激に拡大するアーカイブに対処するとともに、IT部門と法務部門の負担を軽減するために、アウトソーシングという手段を選択する大企業も増えている」(同氏)

 アーカイビングベンダーの多くは、自社のソリューションを拡張し、電子メールのアーカイビング以外の機能も提供し始めている。その背景には、情報を交換するのに電子メール以外のチャネルを利用する従業員が増えていることがある。

 ラディカティ氏によると、今日、監視/アーカイブすべきチャネルとしては、インスタントメッセージング、Webベースの電子メール、チャットルーム、ワイヤレス電子メール/テキストメッセージなどがあるという。

 「インスタントメッセージングは、銀行や証券業界でとりわけ人気がある。現在では、インスタントメッセージ経由で取引するのが普通になっている。企業は当然、こういった通信もすべて保存したいと考えている」とラディカティ氏はeWEEKの取材で語った。

さらに教育が必要

 昨今の連邦政府および国際的なe-Discovery関連の法規制に関しては、企業のあらゆるレベルにおいて、もっと教育を行う必要があるという。

 「残念ながら、問題は教育だけではない。こういった規則や法律の中には、記述が曖昧なために、企業が何をすべきで何をすべきでないかが非常に分かりにくいものもある」とラディカティ氏は指摘する。

 コンプライアンスに関する新しいデファクト(事実上の標準)のe-Discovery規則として昨年12月1日に施行された連邦民事訴訟規則は、特定の種類の電子文書ではなく、インスタントメッセージング、デジタルビデオ、ポッドキャスト、デジタル写真、電子メールなどを含めた「電子文書」一般について言及している。

 ラディカティ氏によると、「E-Mail Archiving Market, 2007-2011」と題されたRadicati Groupの調査報告書には、市場規模、4年間の予測、地域別のデータなどが記載されているという。また、アーカイビング市場をめぐる法律的/技術的問題についても論じているほか、主要アーカイビングベンダーとサービスプロバイダーの分析も行っている。

 この報告書はRadicatiのWebサイトから注文できる。

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