インテリジェンスで不況を克服する米先進企業、Teradataは「データのソーシャル化」を提案Teradata PARTNERS 2010 Report(1/3 ページ)

「Teradata PARTNERS 2010」がサンディエゴで幕を開けた。60を超える企業がエンタープライズデータウェアハウスから得られるインテリジェンスの活用事例を紹介するほか、TeradataはBig Dataも活用する「データのソーシャル化」を顧客企業に提案した。

» 2010年10月26日 09時38分 公開
[浅井英二,ITmedia]
マリーナに面したサンディエゴコンベンションセンター。AT&TのブースPARTNERS運営委員長はヨットのキャプテン姿で登場

 カリフォルニア州サンディエゴは、メキシコとの国境までトラムでわずか数十分という米国西海岸最南端の温暖な港町だが、今年は雨季の訪れが早く、10月なのに朝夕は冷たい小雨が降る。世界経済の盟主として期待を寄せられながら、依然として景気回復の足取りが重い米国経済のようだ。

 Teradataユーザーグループの年次カンファレンス、「Teradata PARTNERS 2010」は米国時間の10月25日、サンディエゴのコンベンションセンターで幕を開けた。今年で25回目を数えるPARTNERSは、1979年にガレージで産声を上げたTeradataを四半世紀にわたって支えてきた歴史あるユーザーカンファレンスだ。昨年は世界同時不況のあおりで参加者を減らしたが、同社が開発拠点を置くサンディエゴに場所を移した今年は過去最多となる3000人以上のユーザーやパートナーが集まり、盛り返している。27日までの会期中、250以上のセッションが用意され、そのうち約60はユーザー企業によるものだ。日本からもKDDIとキュービタスの2社が選ばれ、その先進事例を紹介する。

 ユーザーグループの主催にふさわしく、オープニングセッションの主役も、AT&Tのモバイル部門でセールスアナリティクス&レポーティングのディレクターを務めるマシュー・ブースPARTNERS運営委員長だ。

 「かつては太陽や星を頼りに新航路や新大陸を発見したが、今のわれわれには何千何万のインテリジェンスがある」とブース氏はヨットハーバーを模したステージで話し始めた。

 「大切なのは、ビジネスの基本だ。どうしたら売り上げを伸ばし、コストを下げられるのか? 顧客にとってわが社の価値は何か? IT部門もビジネス部門と一体となって、この基本を追求してほしい。それでこそ、ITが差別化につながるイノベーションを起こせる」とブース氏。これまでにもITにかかわる多くのカンファレンスを取材したが、ビジネス層とIT部門が共に集い、そして学ぶPARTNERSのユニークさは際立っている。

「顧客の戦略パートナーになりたい」とコーラーCEO

NCR時代からのベテラン、TeradataのコーラーCEO

 Teradataの社長兼CEOを務めるマイク・コーラー氏も売り上げの重要さを強調した。

 「2010年上半期は売り上げを14%増やすことができた。これは顧客にとって決定的に重要な意味を持つ。研究開発やコンサルティングなどへ積極的に投資を行えるからだ」とコーラー氏。同社社員の約7000人のうち実に半数が顧客へのコンサルティングに従事し、2割が研究開発に携わっているという。

 「われわれの目標は、最高のデータウェアハウス技術、サービス、ソリューションを提供すること」(コーラー氏)

 同社は年商20億ドル規模のITベンダーだが、IBM、SAP、Microsoft、およびOracleといった通称「MISO」にも決して劣らず、InformationWeek誌の調査によれば、戦略的ITベンダーの7位に食い込み、顧客からの信頼を勝ち得ている。

 「われわれの顧客は1000社に過ぎないが、彼らにとって戦略的なITベンダーとなりたい」とコーラー氏。規模が大きく、力のある企業顧客との特別な関係を築き、共に差別化を図っていくことがTeradataの戦略といえる。

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