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» 2010年12月15日 08時00分 UPDATE

中小企業の活力を高めるクラウド活用の潮流:あくまでクラウドは手段の1つと考えるべき (1/2)

コスト削減を大命題に掲げる中堅・中小企業にとって、自社で情報システムを抱えずに外部のサービスを利用するクラウドコンピューティングに対する期待は高い。ただし、ITにまつわる“真の企業課題”を理解せずしてクラウドによる効果は見込めないという。

[伏見学,ITmedia]

 世界経済を震撼させたリーマン・ショックから2年が過ぎた。一部の企業は長くて暗い不況のトンネルからようやく抜け出したものの、いまだ業績改善の兆しが見えず苦しむ日本企業も多い。特に不景気の煽りを受けているのが、中堅・中小企業である。

 2010年半ばから急ピッチで進行する円高によって、日本の企業は大打撃を受けている。東京商工リサーチによると、円高の影響で倒産した企業は、2010年1月〜10月で58件に上り、前年同期比で3倍に増えた。卸売業や製造業が突出しており、すべて中小企業だという。

ノークリサーチ シニアアナリストの岩上由高氏 ノークリサーチ シニアアナリストの岩上由高氏

 こうした市況において、各社のIT投資も厳しい冷え込みを見せている。IT調査会社のノークリサーチが行った調査によると、中堅・中小企業(ノークリサーチでは年商500億円未満の企業を定義)のIT投資DI(ディフュージョンインデックス)および経常利益DIは、2008年秋の金融危機以降、いずれも値はマイナスで遷移しているものの、2009年11月からはプラスに向かって回復基調が見られていた。しかし、今年11月末に発表した調査では、再び下降に転じることとなった。

 同社のシニアアナリストである岩上由高氏は、長引く円高や先の見えない政局、エコカー補助金終了による消費行動の抑制などをその原因として挙げる。来年以降の中堅・中小企業のIT投資動向についても、引き続き回復は停滞ないしやや後退するのではないかと見ている。

 ただし、中堅・中小企業のIT投資を一くくりにして考えるのは早計である。岩上氏は、IT投資には、(1)企業や業務にITが不要だから投資しない(2)ITに投資する予算がない、の2種類があるといい、年商別、業種別に細かく分析する必要があるという。

IT投資DIと経常利益DIの全体変化(出典:ノークリサーチ) IT投資DIと経常利益DIの全体変化(出典:ノークリサーチ)

年商5億〜100億円が境界線

 まず年商については、大きく「5億円未満」「5億〜100億円未満」「100億円以上」という3つの企業層に分けられるという。年商5億円未満の企業では、基本的にクライアントPC以外に必要とするITシステムはないという考えが強く、今後も現状維持のための最小限のIT投資にとどめる意向が強い。

 年商5億〜100億円未満の企業は、IT投資に対する必要性は感じているものの、資金余力がないという企業が多い。「特にこの企業層は、社内でIT投資の必要/不要論が混在しているため、IT部門がリーダーシップをとって投資判断を見極め、方向性を導き出す必要がある」と岩上氏は説明する。

 年商100億円以上の規模になると、専任のIT部門を設置している企業が多い。この層については、基本的にIT投資の予定や計画はあるものの、不況の影響で先送りにしているケースが多い。裏を返せば、景気の上向きとともに再びIT投資に意欲的になる企業層といえよう。

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