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» 2011年06月13日 16時38分 UPDATE

HP DISCOVER 2011 Report:「Amazon S3に価格で負けない」――HPのパブリッククラウドはストレージサービスから

米国ラスベガスで開催された「HP DISCOVER 2011」では、同社のクラウド戦略――特に今夏に開始予定のパブリッククラウドサービスに対する言及が目立った。

[吉村哲樹,ITmedia]

「Converged Infrastructure」がHPのクラウドソリューションを支える

cambel.jpg ダンカン・キャンベル氏

 ダンカン・キャンベル氏は米ヒューレット・パッカード(HP)で、同社が提唱するITインフラ戦略「Converged Infrastructure」に関するビジネスを統括する立場にある。Converged Infrastructureとは、企業システムが抱えるサーバやストレージ、ネットワーク、管理ソフトウェア、そして電源や冷却システムに至るまで、すべての要素を統合管理することにより、ITインフラの効率的かつ戦略的な運用を実現しようというものだ。そして同氏によれば、Converged Infrastructureは同時に、クラウドを実現するためのシステム基盤でもあるという。

──HPはConverged Infrastructureの中核製品として「HP BladeSystem Matrix」というパッケージソリューションを提供してきたが、本イベントで発表されたアプライアンス製品「HP Virtual System」「HP AppSystem」「HP CloudSystem」は、これと同じアーキテクチャを継承するのか。

キャンベル 基本的にはその通りだ。現在われわれは、クラウドソリューションの実現に向けてConverged Infrastructureの拡張に取り組んでいるが、ソリューションを構成する個々のビルディングブロックはこれまでのものとほとんど変わらない。その1つがHP BladeSystem Matrixだが、現在ではその名前を「HP CloudSystem Matrix」と変えている。

 近年、企業のクラウドに対する興味は急速に高まりつつあるが、その一方で具体的な導入のイメージとなるとなかなかピンと来ないようだ。そこでわれわれは、既存のビルディングブロックにクラウド用の機能やサービスを追加して、アプライアンスやパッケージソリューションとして提供している。こうすることによって、顧客は既存のアプリケーションのうちのどれをクラウドに移行すべきか、判断しやすくなる。

──既に実績のあるアーキテクチャを継承することでクラウドへの移行は容易になるかもしれないが、一方でそうしたアーキテクチャには載りにくいアプリケーションも存在する。この辺りを見極めるための基準はあるのか。

キャンベル HPは「Alliance One」というパートナー・プログラムで、5000社に上るISVパートナーとのエコシステムを構築している。これらISVがConverged Infrastructureの上で自社アプリケーションの動作検証を行っており、これによってユーザー自身が動作検証を行う手間を大幅に軽減できる。

 またわれわれは、既存システムのクラウド移行に関するベストプラクティスや各種テンプレート、システム構成情報などを集めた「Cloud Maps」という情報も提供している。さらには、「Cloud Discovery Workshop」というワークショップも開催しており、各企業ごとの事情やニーズに合わせた形で、クラウド移行のためのロードマップを顧客とと共に構築していくサービスを提供している。

──他ベンダーも近年はクラウドのソリューションを大々的に打ち出しているが、HPのConverged Infrastructureをベースにしたクラウドソリューションは、他ベンダーのソリューションと比べた場合、どこに最大の特徴があるのか。

キャンベル Converged Infrastructureは企業システムのすべての要素を包含するため、クラウドのすべてのシステム階層に渡って適切な技術を提供できる。これは、他ベンダーには真似できないHPならではの強みだ。

 しかし同時に、HPの製品はオープンスタンダードに基づいて作られているため、特定の階層のみに適用するポイントソリューションとしても活用できる。HPが運営するデータセンター内で顧客のシステムを稼働させることもできる。そのためオンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドが混在するハイブリッドな環境に柔軟に対応できる。これも、HPのクラウドソリューションのユニークな点だ。

 すべてのアプリケーションをクラウドに移行するのが、必ずしも得策とは限らない。実際にはハイブリッドな環境が、ほとんどの企業にとっては現実的な選択になるだろう。

2011年夏より自社データセンターを使ったパブリッククラウドサービスを開始

rob.jpg ロブ・テイラー氏

 ロブ・テイラー氏は現在、HPが提供するデータセンターサービスのビジネスを率いる立場にある。同社は本イベントにて、2011年夏から自社データセンターを使ったパブリッククラウドサービスの提供を開始すると発表した。これは具体的にはどのようなサービスになるのか、話を聞いた。

──2011年夏から提供開始されるのは、具体的にはどのようなサービスなのか。

テイラー 今年の夏から、ストレージサービスをパブリッククラウドとして提供開始する。Amazon S3などといった既存サービスが競合相手になるだろう。その後も、ほかの種類のパブリッククラウドサービスの提供を予定しているが、それらの提供開始時期やロードマップにてういてはまだ公表していない。

 ちなみにプライベートクラウドに関しては、米国および英国において既に、HPが運営するデータセンターのリソースを使ったプライベートクラウドサービス「HP Enterprise Cloud Service」(ECS)を提供している。このサービスは日本においても、今年度下期中に提供開始される予定になっている。このようにHPはパブリックとプライベート、双方のクラウドサービスを提供できるのが強みだ。

──Amazon S3が競合サービスとのことだが、価格面での競争力も意識しているのか。

テイラー パブリッククラウドの市場では、価格はユーザーのサービス選択を左右する大きな要因になっている。HPは世界最大級のサプライチェーンを持っており、それを最大限に生かすことで低価格のパブリッククラウドサービスを実現できる。正式な価格は今夏のサービス提供開始を待たないと発表できないが、アマゾンとの価格競争にも決して負けない価格になるはずだ。

──今夏から提供予定のストレージサービスはいわゆるIaaSに当たるものだが、PaaS型のサービスを将来的に提供するプランはあるのか。

テイラー まだHPのビジネス戦略として正式に確立されているわけではないので、私の口から確かなことは言えないが、少なくともCEOのLeo Apothekerは、将来的にはPaaSの領域にも進出したいと言っている。

 現在われわれが持っている技術やポートフォリオの強みを生かせば、PaaS市場においてもさまざまな戦略をとることが可能だろう。なおIaaSに関しては、今夏に発表するストレージサービスに続いて、サーバサービスやその他のサービスの提供を予定している。これらの詳細な内容や提供開始時期については、適切なタイミングで順次発表していく予定だ。

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