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» 2011年11月11日 11時45分 UPDATE

ニュース解説 CTCとマイクロソフトがクラウド事業で協業:Windows Azureパートナーシップに新展開

伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)との協業で見えてきたマイクロソフトのWindows Azureパートナーシップにおける新展開とは――。

[松岡功,ITmedia]

CTCがWindows Azureをバックアップで適用

 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と日本マイクロソフトが11月10日、両社のデータセンターを連携させたクラウドソリューションにおける協業について合意したと発表した。(関連記事参照)

 CTCが構築する高速な演算処理を実現するHPC(High Performance Computing)環境と、マイクロソフトのパブリッククラウドサービス「Windows Azure Platform」(以下、Windows Azure)を連携し、システムへの投資を抑えながら計算処理量の急激な変動に対応できるHPCソリューションを提供するのが、協業の内容だ。

 両社によると、Windows Azureを使用したHPCソリューションは国内で初めてという。まずは、保険会社をはじめとした金融機関向けに、リスク計算などにおける一時的な計算処理量の増加に対応するHPCソリューションを開発し、両社共同で営業展開していくとしている。

 マイクロソフトが展開するWindows Azureパートナーシップにおいて、CTCのような大手システムインテグレーターとの協業が、明確なビジネスモデルやソリューション内容とともに発表されたのは、今回が初めてだ。

 発表会見での説明によると、システムの仕組みのポイントは、通常はHPC環境を備えたCTCのデータセンターを使用し、必要に応じてマイクロソフトのデータセンターからWindows Azureのリソースを活用することで、一時的なシステム負荷の増大に対応できるようにした点にある。

 すなわち、CTCにとってはWindows Azureをバックアップとして適用した形だ。CTCはこうして、顧客から見て同社が一括したサービス提供窓口になるビジネスモデルを構築した。

日本マイクロソフトの樋口泰行社長(左)と伊藤忠テクノソリューションズの藁科至徳取締役兼専務執行役員 日本マイクロソフトの樋口泰行社長(左)と伊藤忠テクノソリューションズの藁科至徳取締役兼専務執行役員

システムインテグレーターとの協業形態の典型に

 マイクロソフトがWindows Azureパートナーシップにおいて、有力なシステムインテグレーターとどのような協業形態をとるか。筆者はかねて、この点に注目していた。なぜならば、マイクロソフトのWindows Azureパートナーシップには、クラウド事業戦略として他にはないユニークな協業形態があるからだ。

 ユニークな協業形態とは、マイクロソフトがWindows Azureにおいて富士通、米Hewlett-Packard(HP)、米Dellと戦略的提携を結び、同プラットフォームを運用できるシステム基盤を開発するとともに、3社のデータセンターからそのシステムを活用したクラウドサービスを提供できるようにしていることだ。

 マイクロソフトが3社と戦略的提携を結んだのは、Windows Azureの実行環境として同社が提供する「Windows Azure Platform appliance」を組み込む形になるPCサーバのグローバルシェアにおいて、上位を競うのがこの3社だからだ。3社はこうしたマイクロソフトとの戦略的提携をもとに、自社のデータセンターでWindows Azure事業を進めつつある。

 では、この3社しか、そうした事業展開が図れないのかといえば、そうではない。マイクロソフトなどとの契約のもと、3社が提供するWindows Azure Platform applianceを組み込んだPCサーバを導入すれば、同じように自社のデータセンターでWindows Azure事業を行うことは可能なはずだ。

 そうした展開が、徐々に有力なシステムインテグレーターにも広がっていくのではないか。それはマイクロソフトの思惑でもあるはず、とにらんでいたが、今回の両社の協業内容を見る限り、筆者の先走りだったようだ。

 ただ、今回の両社の協業内容をあらためて見ると、とくにCTCにとっては自社のデータセンターでWindows Azure事業を進めるところまでは行かずとも、Windows Azureの機能を有効利用できるメリットは大きい。しかも自社のビジネスモデルにWindows Azureを組み入れているので、顧客に対してワンストップサービスを展開できる。

 マイクロソフトにとっては、それぞれの得意分野を生かし、ビジネスモデルが成り立つ形で「裏方」にまわるのも、有力なシステムインテグレーターとの賢明な協業形態なのかもしれない。

 発表会見で日本マイクロソフトの樋口泰行社長に、Windows Azureパートナーシップにおけるシステムインテグレーターとの協業のあり方について聞いたところ、こんな答えが返ってきた。

 「(3社のように)Windows Azureをパートナーのデータセンターで運用するのには、技術的な検証作業などで相当な労力と時間を要する。システムインテグレーターとの協業においても、長期的にはそうした展開もあり得るかもしれないが、短期的には今回の協業のような既存のデータセンター連携が増えていくと考えている」

 その意味では、マイクロソフトにとって今回のCTCとの発表は、Windows Azureパートナーシップにおける有力なシステムインテグレーターとの協業形態の典型を示唆したものともいえそうだ。

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