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» 2011年12月19日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:異業種大手と相次いで共同会見したマイクロソフトの思惑

日産自動車や日本交通といった異業種大手と先週、相次いで共同記者会見を開いたマイクロソフト。その思惑とは——。

[松岡功,ITmedia]

日産自動車や日本交通と相次いで共同会見

 マイクロソフトが先週、日産自動車および日本交通と相次いでITの新たな仕組みづくりを内容とした共同記者会見を開いた。いずれも、もしスクープだったならば、新聞でいえば一面トップを賑わしそうな話だ。

 日産自動車との共同会見は12月12日。日産と米Microsoftが、日産の次世代ディーラーマネジメントシステムの構築に関して覚書を締結したと発表した。

 日産自動車とマイクロソフトの共同会見。左から日産の行徳セレソ執行役員、アンディ・パーマー副社長、米Microsoftのキリル・タタリノフ マイクロソフトビジネスソリューション担当プレジデント、日本マイクロソフトの樋口泰行社長 日産自動車とマイクロソフトの共同会見。左から日産の行徳セレソ執行役員、アンディ・パーマー副社長、米Microsoftのキリル・タタリノフ マイクロソフトビジネスソリューション担当プレジデント、日本マイクロソフトの樋口泰行社長

 新システムは、マイクロソフトのCRMアプリケーション「Microsoft Dynamics CRM」をベースとし、CRM機能とソーシャルメディア連携機能を融合させることで、顧客とのより強固な関係を構築しようというものである。

 さらに、同システムをマイクロソフトのクラウド基盤サービス「Windows Azure Platform」上で稼働させることで、グローバル規模でのスケールメリットの確保や柔軟性を享受できるようにしていく考えだ。

 新システムに関する詳しい内容はすでに報道されているので、関連記事等を参照いただくとして、共同会見で日産のCIO(最高情報責任者)を務める行徳セレソ執行役員グローバル情報システム本部長が語った印象深いコメントを紹介しておきたい。

 「従来のディーラーマネジメントシステムはクルマの情報を中心としていたが、新システムではクルマではなく顧客の情報に焦点を当てる。顧客がどの販売店に訪れてもすぐにその顧客の情報を把握できるようにし、日本流の“おもてなし”の対応を実現していきたい」

 一方、日本交通との共同会見は翌13日。日本交通と日本マイクロソフトが、クラウドを活用した日本初の「全国タクシー配車」サービスの展開における協業を発表した。全国のタクシー事業者13グループと提携し、スマートフォンでタクシーが呼べるサービスを同日より提供開始した。

 新サービスは、Windows Azure Platform上に構築したタクシー配車システムを利用し、スマートフォンのアプリケーションから最寄りのタクシーを呼べるようにしたものである。

 こちらも、新サービスに関する詳しい内容はすでに報道されているので、関連記事等を参照いただくとして、共同会見で日本交通の川鍋一朗社長が語った印象深いコメントを紹介しておきたい。

 「タクシーという業態は、顧客もサービス提供者であるクルマも動いているという究極のモバイル。これに対応するにはスマートフォンが最適だ。タクシーはこれから“拾う”から“選ぶ”時代になり、自家用車のように利用してもらえるようになる」

 共同会見後、取材に応じる日本マイクロソフトの樋口泰行社長(左)と日本交通の川鍋一朗社長 共同会見後、取材に応じる日本マイクロソフトの樋口泰行社長(左)と日本交通の川鍋一朗社長

ソーシャルメディアやスマートフォン活用にも注力

 日本マイクロソフトの樋口泰行社長は日産との共同会見で、「新システムに対してはマイクロソフトとしても、まず日本でしっかりと成果を上げ、グローバル展開における足場づくりの支援をしたい」とコメント。また、日本交通との共同会見では「この取り組みはまさしくデバイスからクラウドまで包含した新たな時代のサービスである」と力を込めた。

 それぞれの業界を代表する日産および日本交通との提携は、マイクロソフトにとっても企業向けビジネスにおける強さを世間に印象づける格好の機会になったのではないだろうか。

 しかもその提携の内容も、日産および日本交通にとって非常に革新的でチャレンジングなものだと感じた。実はそこに今回、両社と共同会見を行ったマイクロソフトの思惑があると見た。

 今回の両社との提携を、視点を変えてみると、日産の場合は「クラウドとソーシャルメディア」、日本交通の場合は「クラウドとスマートフォン」という組み合わせの連携・連動がキーポイントになっているとも見て取れる。

 企業のIT化において、これらの組み合わせによる連携・連動が本格的に始まるのは、まさしくこれからだ。そしてマイクロソフトに対する大方の印象も、クラウド分野ではここにきてメジャープレーヤーとしての存在感を見せつつも、ソーシャルメディアやスマートフォン分野での存在感はまだまだ小さいように見受けられる。

 その意味で今回の両社との共同会見は、企業向けにこれから本格化する「クラウド+ソーシャルメディア+スマートフォン」というソリューションにおいて、マイクロソフトが積極果敢に打って出る姿勢を明確かつ具体的に示した場でもあったといえそうだ。

 脈絡はないが、最後に疑問を1つ。共同会見で「新システムのクラウドサービスを提供するデータセンターは日本国内に設けるのか」と質問された日産の行徳氏が、こう答えた。

 「パブリッククラウドを含めて国内でサービス提供するデータセンターは、セキュリティおよびコンプライアンスの観点から国内に設けたいと考えている」

 ということは、マイクロソフトが提供するWindows Azure Platformも国内のデータセンターに設置されるのか。マイクロソフト自体は今のところ、国内にWindows Azure Platformの運用拠点を持っていない。となると、その運用で国内唯一の提携関係にある富士通のデータセンターに委ねるのか。

 関係者によると、この点についてはまだ決まっていないとか。ただ、行徳氏の発言は日産CIOとしての思いが滲み出ていたようにも感じた。

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