パートナーを取り込みモバイル事業を加速 SAP

買収やパートナー戦略などモバイル事業に関する説明をSAPが行った。

» 2012年04月19日 08時00分 公開
[伏見学,ITmedia]

 SAPジャパンは4月18日、モバイル事業に関する記者説明会を開催した。同社は柔軟な基盤やパートナー戦略を軸にした包括的なモバイルソリューションを提供していく。

SAPのエグゼクティブ・バイスプレジデントでグローバル・モバイル・セールス&ソリューションを担当するクリス・マクレーン氏 SAPのエグゼクティブ・バイスプレジデントでグローバル・モバイル・セールス&ソリューションを担当するクリス・マクレーン氏

 モバイルソリューションの基盤として、SAPは1日あたり18億件ものメッセージを処理する「Sybase 365 Messaging Infrastructure」、企業がスマートフォンやタブレット端末をセキュアに管理するためのモバイル管理製品「Afaria Mobile Device Management」などを含めた統合的なプラットフォーム「SAP mobile platform」を構築。その上でB2E(Business to Employee)からB2Cまでの幅広いターゲットに、銀行や流通、通信などさまざまな業種、業態に向けたモバイルアプリを開発し、オンプレミスでもクラウドでもユーザーに提供できるようにする。

 アプリ開発はSAPだけにとどまらない。このたびAdobe、Appcelerator、Senchaと協業し、オープンなモバイルアプリ開発フレームワークをユーザーやパートナーに提供していく。具体的には、AdobeがHTML5などのWeb技術を使ってネイティブのモバイルアプリを開発するハイブリッド型Webアプリケーション・ランタイム環境「PhoneGap」を、AppceleratorがEclipseベースのIDE、SDKおよびコネクタライブラリである「Titanium Development Platform」を、SenchaがHTML5モバイルアプリ向けフレームワーク「Touch」を提供する。これによって、百万人以上のモバイルアプリ開発者がネイティブやモバイルWebなどを含む多様なクライアントアーキテクチャをベースに、多種多様なモバイルアプリを開発できるようになる。

 SAPのエグゼクティブ・バイスプレジデントでグローバル・モバイル・セールス&ソリューションを担当するクリス・マクレーン氏は、「1つのプラットフォームで企業が必要とするすべてのモバイルアプリを開発できるのだ」と強調した。

 SAPはモバイルソリューションをさらに強化するために、モバイル資産管理(EAM)に強みを持ち、電気、ガス、水道、石油ガス、ライフサイエンス、製造業などの業界に対してサービスを提供するSycloを買収すると先日発表した(2012年第2四半期中に買収完了予定)。Sycloは39カ国600社以上のユーザーを抱える大手プロバイダーである。買収完了後、SycloのアプリケーションはSAP mobile platformに統合され、Afariaに組み込まれる。

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