経営陣がIT部門にプレッシャーをかけモバイル化が進む――ファイルメーカーのエプリング社長

iOSアプリのFileMaker Go 12は、FileMaker 12のユーザーであれば無償で利用できるモバイルデータベースだ。無償提供という積極的な戦略をとったファイルメーカーのビル・エプリング社長に狙いを聞いた。

» 2012年04月25日 08時00分 公開
[大山貴弘,ITmedia]
ビル・エプリング社長

――FileMaker 12のユーザーは、iOS向けアプリのFileMaker Go 12を無償で利用できます。どのような狙いがあるのでしょうか。

エプリング これまで企業ユーザーが気にしていたアプリケーションの所有権やApp Storeでの承認といった問題が解決します。実際FileMaker Go 12は、1週間で10万件のダウンロードを記録しました。これは我々にとって驚くべき数字です。

――同時に、セキュリティーやIT資産管理という面での懸念からスマートフォンやタブレットの導入に慎重な企業も少なくありません。

エプリング ご存知のように、iPadが登場してわずか2年です。新しい市場であり、セキュリティーやIT資産管理については、多くの企業が対策を検討している段階でしょう。我々がユーザーから聞く要望は「とにかく迅速にシステムを導入したい」ということと「変化に対応するため柔軟なシステムにしたい」ということです。

 FileMakerは、迅速に導入しつつ柔軟性を保つという点で優れています。データベースのプロトタイプをすぐに作成できるし、展開しやすく、また変更に対応しやすいからです。Xcodeによるデータベース開発と比較して負荷が少ないという事実は、FileMakerの大きな強みだと考えています。

――ノートPCの代わりにタブレットやスマートフォンを持ち歩くビジネスパーソンも増えています。

エプリング 現在の状況は、大きなチャンスだと考えています。なぜならば、ビジネスシーンでタブレットやスマートフォンが使われるようになれば、PCがなくても生産性の高い仕事ができる環境を整えるようにと、経営陣がIT部門にプレッシャーを与えます。IT部門にプレッシャーが働けば、従来のプラットフォームを見直すきっかけにもつながるでしょう。ワークスタイルの変化は、我々のビジネスを後押しするはずです。

――“これまではFileMakerに興味がなかったがモバイルで利用できるデータベースという視点からFileMakerユーザーになった”ということも多いのでしょうか。

エプリング はい。FileMaker Goを入り口としてユーザーになるケースが増えています。既存のユーザーも「最新のFileMakerは新しくてクールだ」と驚いています。デスクトップ版が中心だった従来のFileMakerのイメージも、変わっていくかもしれませんね。

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