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» 2012年05月14日 07時50分 UPDATE

Citrix Synergy 2012 レポート:Citrixが新たに仕掛けるコラボレーションとクラウドプロジェクトの狙い

米Citrixは、年次カンファレンスで企業向けコラボレーションツールベンダーの買収と、クラウドプロジェクト「Project Avalon」の立ち上げを発表した。2つの取り組みの狙いを担当者に聞く。

[渡邉利和,ITmedia]

 米Citrix Systemsは、5月9〜11日に米国サンフランシスコで年次カンファレンス「Citrix Synergy 2012」を開催。初日の基調講演でコラボレーションサービスやクラウドの新たなプロジェクトを発表した。これらの取り組みに関する詳細な話を担当者に聞いた。

PODIOとGoToMeetingのすみ分けと融合

 既報の通り、カンファレンスではエンタープライズ向けのソーシャルコラボレーションツールを手掛けるPODIOの買収が発表された。一方、Citrixは以前から企業向けのコラボレーションツールに力を入れており、クラウドサービスとしても提供するオンライン会議ソリューションの「GoToMeeting」などがその代表だ。

synergy006.jpg コラボレーション/オンラインサービス部門 プロダクトライン バイスプレジデント、サンパス・ゴマタン氏

 Citrixのコラボレーション/オンラインサービス部門 プロダクトライン バイスプレジデントで、GoTo Meetingを担当するサンパス・ゴマタン氏は、PODIO買収の業務に直接携わっているわけではないとのことだが、買収の意味やGoToMeetingとのすみ分けと連携について説明した。同氏によれば、GoToMeetingとPODIOの違いを一言で表現すると、「リアルタイムコラボレーション」と「非同期コミュニケーション」の違いということになる。

 GoTo Meetingは基本的には電子会議を実現するツールで、地理的な距離を超えてリアルタイムのコミュニケーションを可能にする。一方、PODIOは複数の参加者によるコミュニケーションの場を共有し、それぞれにメッセージを書き込むといったことができるが、必ずしもリアルタイム性は重視されていない。むしろ、蓄積されたコンテンツを参加者各人がそれぞれ参照する形だ。

 企業内での業務遂行、特に同社が掲げる「モバイルワークスタイルの実現」というコンセプトに照らすと、オフィスに集まらなくても、どこからでもリアルタイムのコミュニケーションに参加できることが重要で、そのためにGoTo Meetingが先に登場した。だが、昨今のソーシャルコミュニケーションの普及を受けて、非同期コミュニケーションのためのプラットフォームもそろえたというのが買収の意味となる。

 企業内で利用するコラボレーションツールを考えると、リアルタイム/非同期はどちらも有用であることは当然だろう。この両者は補完的な関係になる。将来的には、リアルタイムと非同期が融合した「Integrated Collaboration(統合型コラボレーション)」を実現していく計画だという。これは、さまざまなアプリケーションのプラットフォームとして機能するPODIOを使い、GoToMeetingの機能を取り込む、いわばPODIOの高機能版といった実装になるようだ。

 ユーザーのワークスタイルや予算などの各種の条件を踏まえ、GoToMeetingもしくはPODIO、および両者の機能を兼ね備えるIntegrated Collaborationの、3通りの選択肢が実現する。こうしたコラボレーションツールは、クラウドとは直接的な関連性は薄いものの、同社の究極的な目標はモバイルワークスタイルの実現であり、クラウドがそのための“ツール”と考えれば、PODIO買収によるコラボレーションツールの強化は、同社戦略において中核的な重要性を持つものだと言えるだろう。

Project Avalonが目指すもの

 次にクラウドプラットフォームグループ プロダクトマーケティング バイスプレジデントのペダー・ウーランダー氏に、基調講演でCEOのマーク・テンプルトン氏が発表した「Project Avalon」について聞いた。

 ウーランダー氏は、従来のXenDesktop/XenAppの制約として、システム自体がモノリシックな構成になっているという点を挙げた。データセンターに設置された物理サーバ上で稼働するXenDesktop/XenAppのサーバは、ユーザーのデスクトップやアプリケーション環境を管理している。ユーザーはそのデータセンターにアクセスして自分の環境を呼び出す。そのため、例えば同氏が米国から東京に出張した際に自分のデスクトップにアクセスしようとすると、まず米国のデータセンターから東京のデータセンターにデスクトップイメージをコピーしなければいけないという。ユーザーが“データセンターの境界”を意識せざるを得ない構造になっている。

 Project Avalonは、この現状を解決するためにXenDesktop/XenAppを、クラウドに対応させることを目指したものになる。ユーザーのデスクトップイメージがどのデータセンターに格納されていようとも、ユーザーはどこからでも自分のデスクトップにアクセスでき、いつもの環境で利用できる。東京に出張中は東京のデータセンターから、米国に戻れば米国のデータセンターから、自分のデスクトップが配信されてくるというイメージだ。別の表現をすれば、複数のデータセンターを統合したマルチサイトのクラウドプラットフォーム上でシングルインスタンスのサーバアプリケーションが動作しており、ユーザーは常に単一のインタフェースを通じて、リソースにアクセスできる環境を実現する。

 XenDesktop/XenAppでこれを実現するには、XenDesktop/XenApp自体の拡張が必要になる。それに加えて、同社がこれまで取り組んできたクラウド間接続のための「CloudBridge」といったさまざまなコンポーネントを組み合わせたソリューションとして提供される形になると予想される。

 ウーランダー氏は、「XenDesktopクラウド/XenAppクラウド」という表現をしている。クラウドサービス事業者がサービスメニューの一環としてProject Avalonで実現される“Desktop as a Service”“Application as a Service”を提供する、あるいはグローバル企業などがオンプレミス環境を構築しサービスを提供するといった形態が検討されているとのことだ。

 Citrixは、マルチハイパーバイザをサポートする各種サーバアプリケーションやCloudStack(Citrix CloudPlatform)、CloudBridge、CloudGatewayを組み合わせることで、マルチサイトに分散しつつも単一イメージでアクセスできるクラウド環境を実現する製品群を持つ。その環境上に同社の中核製品であり、市場でも競合優位が認められた“定番製品”でもあるXenDesktop/XenAppを載せていくという取り組みが、Project Avalonの本質であるようだ。

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