Stuxnetは米政府が開発、大統領が攻撃命令――New York Times報道

産業インフラに感染するマルウェア「Stuxnet」は、イランによる核兵器開発の進展を遅らせる目的で米国とイスラエルの政府が開発したものだったとNew York Timesが伝えた。

» 2012年06月02日 21時49分 公開
[鈴木聖子,ITmedia]

 米紙New York Timesは6月1日、イランの核施設の制御システムに感染した極めて高度なマルウェア「Stuxnet」は米国とイスラエルの政府が開発したものだったと伝えた。

 同紙の報道は、計画にかかわった米国やイスラエルの当局者および外部の専門家への取材に基づいている。それによると、米政府はイランによる核兵器開発の進展を遅らせる目的で、ブッシュ政権時代にコードネーム「Olympic Games」と呼ばれる計画に着手。この計画はオバマ政権に引き継がれ、オバマ大統領が就任後間もなく、イランの核開発施設運用に使われているコンピュータに対する攻撃を命じたという。

 ところがプログラミングエラーを原因とする手違いのため、2010年にStuxnetがイランの核施設から流出し、インターネットを通じて世界に出回ってしまったという。

 Stuxnetの流出を受けて、オバマ大統領や米中央情報局(CIA)のパネッタ長官(当時)が対応を協議し、作戦の続行を決定。その後数週間でイランの核施設にStuxnetの更新版が次々と送り込まれ、当時ウラン濃縮のために稼働していた遠心分離機1000〜5000台を一時的にダウンさせた。

 米政府は最近になってサイバー兵器の開発に当たっていることを確認したが、実際に利用したことは認めていなかった。米国が他国のインフラに対する本格的なサイバー攻撃を仕掛けて成果を出したのはこれが初めてだったとみられるとNew York Times紙は伝えている。

 一方、最近になって存在が確認されたマルウェア「Flame」について米当局者は、Olympic Games作戦とは無関係だとしながらも、米政府が関与しているかどうかについては言及を避けたという。

 この記事を執筆した同紙のデービッド・サンガー記者の著書「Confront and Conceal: Obama’s Secret Wars and Surprising Use of American Power」は6月5日に米国で発売される。

Stuxnetは米国政府が開発したと報じるNew York Times

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