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» 2012年09月10日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:マイクロソフト一大攻勢の意味

マイクロソフトが今年から来年にかけて、主力製品をはじめとして過去最大規模数の新製品を投入するという。企業におけるIT利用環境の観点から、その意味を考えてみたい。

[松岡功,ITmedia]

WindowsやOfficeを一気に刷新へ

 「今年7月から始まった新年度は、マイクロソフトにとって過去最大規模数の新製品を投入する一大攻勢の年になる。まさに新時代の幕開けだ」

 基調講演で話す日本マイクロソフトの樋口泰行社長 基調講演で話す日本マイクロソフトの樋口泰行社長

 日本マイクロソフトの樋口泰行社長は9月7日、同社が都内ホテルで開催したビジネスパートナー向けの年次総会「マイクロソフト ジャパン パートナー コンファレンス 2012」の基調講演でこう強調した。

 一大攻勢にあたり、樋口氏は企業顧客のニーズについて、「リーマンショック以降、東日本大震災を経て、コスト削減や事業継続性に対するニーズが中心だったが、ここにきて経営スピード向上や社風改革、情報活性化、グローバル視点、ガバナンス向上、インテリジェンスなオペレーションといった“力強さ”を求める声も高まってきた」との見方を示し、ITでそうした取り組みを支える必要があると語った。

 また、そのITの進化については、クラウド、ビッグデータ、ソーシャル、ジェスチャーや音声などの認識技術、デバイスの多様化、コンシューマライゼーション、ユビキタス、マシンラーニングといったキーワードを挙げ、これらへの対応が今後の注力ポイントになるとの認識を示した。

 こうした背景を踏まえてスタートした一大攻勢の中でもとくに注目されるのは、9月5日に発表されたサーバOSの最新版「Windows Server 2012」、10月26日に発売予定のクライアントOSの最新版「Windows 8」、それに続くオフィスアプリケーションの最新版である次期Officeといった3つの主力製品である。

 樋口氏はその中でもWindows 8が最大の目玉になるとし、「キーボードやマウスだけでなくタッチ操作も可能になり、インテル以外のCPUでも動作し、多様なデバイスに適用できる万能ソリューションで、まさしくWindowsを再創造するものだ」と強調した。

 さらに同氏は、Windows 8への広告投資を過去最大規模で行うとし、IT市場においてかつてWindows時代の本格的な幕開けを果たしたWindows 95を上回る大きな山場をつくっていきたいとの意気込みを示した。

 ちなみにマイクロソフトは8月下旬、四半世紀ぶりに企業ロゴを刷新した。樋口氏によると、ロゴ刷新も一大攻勢による新時代の幕開けに向けた同社の変革を示すものだという。

一大攻勢のマイクロソフトに死角はないか

 ではこの動き、企業におけるIT利用環境の観点からみると何を意味しているのか。それを考えるうえでは、Windows Server 2012がどう進化したかをみるべきだろう。

 日本マイクロソフトが9月5日に開いた発表会見での説明によると、Windows Server 2012は企業内システムからプライベートクラウド、パブリッククラウドまで対応し、企業内の小規模なサーバから大規模なクラウド環境まで幅広い用途に活用できるサーバOSだという。

 詳しい内容についてはすでに報道されているので関連記事等をご覧いただくとして、つまりは本格的なクラウド対応機能を備えたサーバOSということだ。これによってマイクロソフトは、同社のクラウド利用環境における最大の特徴としてかねてから強調してきた企業内システムとクラウド間のシームレスな利用環境を一段と充実させたのが最大のポイントだ。

 こうした利用環境の下で、多様なデバイスに対応してユーザーインタフェースに一層磨きをかけたWindows 8や、クラウドとの連動性を高めた次期Officeが最適化された形で動くようになる。樋口氏はWindows 8を「Windowsを再創造するもの」と語ったが、企業におけるIT利用環境の観点からみれば、こうした全体の仕組みが広がっていくことがWindowsの再創造なのではなかろうか。

 クライアントOSでもサーバOSでもユーザー数では圧倒的なシェアを誇るマイクロソフトだけに死角などなさそうに見えるが、もしあるとすれば、それは先に述べたWindowsのシームレスな利用環境を必要とせず、例えばGoogleのパブリッククラウドサービスを利用することで企業内システムを持たないユーザーが増えてくることだろう。

 しかもGoogleがかねてから進めているのは、PCなどのデバイスをOSではなくブラウザ環境で利用できるようにすることで、ここにきてそうした取り組みをエンタープライズ事業としてあらためて仕込み始めているようだ(関連記事参照)。さらにクラウドサービス専業では、Salesforce.comなどの成長も著しい。

 マイクロソフトがそうした競合の動きを察知していないわけはないだろう。このタイミングで同社が一大攻勢に打って出るのは、クラウドでのWindowsの再創造を早期に成し遂げ、OSベースでのシェアをクラウドベースに移行させるためにも、今こそ全精力を注ぐべき時との判断があったのではないか。それは裏を返せば、同社の強い危機意識の表れなのかもしれない。

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