Oracleと富士通がタッグ、DB処理アシスト機構をCPUに組み込む次世代サーバ「Athena」開発Oracle OpenWorld San Francisco 2012 Report(1/2 ページ)

Oracleの年次カンファレンス、「Oracle OpenWorld San Francisco 2012」が幕を開けた。オープニングキーノートには富士通が登場し、Oracleと次世代サーバを開発していることを明らかにした。

» 2012年10月01日 15時26分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 日曜日の昼下がりから赤いロゴマークをペイントしたバスが、けたたましくサンフランシスコのダウンタウンを行き交う。米国時間の9月30日、今年で18回目となるOracleの年次カンファレンス、「Oracle OpenWorld San Francisco 2012」がモスコーニセンターで幕を開けた。何と5万人の参加者でダウンタウンの主なホテルはすべて満室となり、ケーブルカーで知られる全米有数の観光地もOracleの顧客やパートナーでごった返している。

 10日前に発表されたOracleの業績も堅調だ。8月末に締めた同社の第1会計四半期は、売上高こそユーロ安の影響を受け、前年同期比2%減の81億8100万ドルにとどまったが、純利益は11%増の20億3400万ドルに達した。2010年初めに買収を完了した旧Sun Microsystemsのハードウェア事業が引き続き振るわず、19%減の13億5300万ドルと売上高を大きく落としているが、同社はコモディティー化が急速に進む従来のハードウェア事業には既に見切りをつけており、ハードウェアとソフトウェアを融合した「Engineered Systems」やクラウド事業に軸足を移しつつある。

 夕方から行われたオープニングキーノートにトップバッターとして登場した富士通も、世界トップクラスのハードウェア技術とソフトウェアを組み合わせて新たな価値を創造し、方向が定まりつつある業界のトレンドをリードしようとしている。

富士通の豊木常務

 「富士通はITのポテンシャルを再定義し、これまで不可能だったことを可能にする」と話すのは豊木則行常務だ。

 豊木氏は、東日本大震災の復旧・復興に差し延べられた世界の支援に改めて謝辞を述べ、同社が福島県会津若松市のスマートシティー構想をクラウドコンピューティングで支援していることを紹介した。「情報と通信の技術(ICT)こそ社会に貢献できる」と豊木氏は話す。

 富士通による「農業クラウド」の取り組みはよく知られている。和歌山県の早和果樹園では、センサーで気温、降水量、土壌温度などのデータを収集、さらにスマートフォンを活用して5000本を超えるミカンの木1本ごとに糖度や酸度、樹木の状態や病害虫の発生などを細かく管理し、見える化と分析によって美味しいミカン作りに生かしている。熟練した生産者の経験をナレッジとして蓄積・共有できる効果も大きく、同社が掲げる「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」の実現に一歩近づくものだ。

 「富士通のICTが、新しい農業、そして豊かな食生活に貢献しようとしている」と豊木氏。会期中、展示フロアの富士通ブースでは、来場者に早和果樹園のミカンジュースが振舞われるという。

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