将来のクラウドコンピューティング環境へ向けた「オープン・クラウド・ビジョン」と戦略を明らかにした。
インテルは10月18日、将来のクラウドコンピューティング環境に向けた新たなビジョン「オープン・クラウド・ビジョン」と、そのための戦略を発表した。2010年に同社が提唱した「クラウドビジョン2015」を受け継ぎ、2015年から先の将来を見据えたものとなっている。
クラウドビジョン2015では「パブリッククラウドとプライベートクラウドの連携」「リソース管理などの自動化」「多種多様な端末に自動的に対応するクライアント認識」の3つが柱だった。これまでの間に、オープンなデータセンターソリューションに求められる要件を設定することを目的にした「ODCA(Open Data Center Alliance)」が設立され、ベンダー各社などが、ビジョンの実現に向けた取り組みを進めてきた。
インテル自身も、自社のITインフラでクラウド活用を進めており、2009年から2011年には、プロビジョニング対応に伴う時間を90日から45分へと大幅に短縮。仮想化プラットフォーム率は12%から65%に、資産使用率を10〜20%から60%以上へと高めるなど、目に見える成果を上げているという。
同社取締役副社長の宗像義恵氏は、「クラウドビジョン2015を提示してから約2年が経つが、3分野全てで進歩がみられる。だが課題も残り、一つひとつクリアしていくことがビジョン実現に必要だ」と話した。
新たに打ち出された「オープン・クラウド・ビジョン」は、2015年から先の将来までを見据え、「要求仕様」「プラットフォーム」「サービス選択」の3点を戦略の柱に位置付ける
まず「要求仕様」は、引き続きODCAを中心に取り組む方針で、相互接続を可能にするための標準化などの取り組みをIntelが参加する各種の業界団体を通じて加速させていくという。また、「サービス選択」ではソリューション選択の場として「インテル クラウド・ビルダーズ」、クラウドサービスプロバイダー選定の場として「インテル クラウド・ファインダー」をそれぞれ立ち上げる。
3点目の「プラットフォーム」はインテルが最も注力する。この分野ではパフォーマンスから高度な電力管理、セキュリティのさらなる強化がサーバやストレージ、ネットワークにまで要求され、大きな変革を迫られているという。従来の集約型のストレージや、ツリー構造を前提としたネットワークの仕組みはクラウド環境に適さないとし、多数のサーバが連携するクラウドストレージや、「SDN(Software Defined Network)」の開発が急がれる状況とのことだ。Intelではベンダー各社と協力して、この分野のリファレンスとなるようなハードウェアの開発を進める。
プラットフォーム開発についてクラウド・コンピューティング事業本部 データセンター事業開発部 シニア・スペシャリストの田口栄治氏は、「クラウドに使われるハードウェアは、量産型のビルディングブロックを使って構築するのが基本。標準化を進めて、共通のアーキテクチャを作り上げていく。またパラダイムシフトが生じている中で、ソフトウェアも急速に進化する。こうした変化に対応する柔軟性と、マルチベンダーでありインターオペラビリティを確保することがハードウェア開発では重要だ」と述べた。
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