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» 2012年11月07日 08時00分 UPDATE

田中克己の「ニッポンのIT企業」:グローバルで勝つための道(第3回) (1/2)

海外に活路を見出そうとする富士通。「売り上げの半分はグローバル市場から」と海外ビジネス部門長のボードレー常務は語る。

[田中克己(IT産業ウオッチャー),ITmedia]

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 富士通はグローバル市場に成長の機会を見出そうとしている。国内のSIなどサービス事業から得られた収益を、グローバル市場の開拓にも振り向ける。海外ビジネス部門長を務めるロッド・ボードレー執行役員常務は「売り上げの半分は将来、グローバル市場からにする」と考えている。第3回は、グローバル市場から富士通の将来を探ってみる。(第1回:サービス事業に活路を求める富士通、第2回:プロダクト事業の行く末

伸び悩むグローバル市場

 山本正已社長は、グローバル化を加速させようとしている。国内需要が低迷する中で、成長を期待できるのは海外市場だからだろう。確かに、新興国を中心にIT需要は拡大しており、多くのITベンダーがその開拓に力を注いでいる。

海外売り上げ推移(億円) 海外売り上げ推移(億円)

 しかし、富士通の海外売り上げは低迷し続けている。2007年度の1兆9236億円から2011年度に1兆5060億円と4000億円以上も減収した。総売り上げに占める割合は30%強である。営業利益はそれ以上の落ち込みで、2007年度の248億円から2011年度に約80億円となった。ボードレー常務は「海外売り上げは減っているように見えるが、その3分の2は為替の影響による」とする。とは言うものの、「ここしばらく急成長は難しい。まずは利益を改善し、営業利益率5%にする」(同)のが目標である。

 実は、海外比率40%は2009年度に達成する予定だった。目標達成が遅れているのは、為替以外の問題もありそうだ。

 1つは、世界に通用する商品が少ないことと思う。ミドルウェアや業種アプリケーションなどソフトウェアは国内中心で、グローバル対応は「欧米ITベンダーの商品で」となってしまう。もう1つは、海外市場での販売戦略を共通化してこなかったこと。標準的なソリューションも少ない。

 背景には、現地法人の成り立ちがある。IBMのように、各国に100%出資の子会社を設立し、共通の商品やサービスを販売する体制を整えてきたわけではない。富士通の英国法人(富士通サービス)は英ICL(International Computers Limited)、米国法人は米Amdahlを母体にする。ドイツの富士通テクノロジー・ソリューションズはSiemensとの合弁会社だった。日本のように大量のSE軍団も存在しないので、欧州や米国の海外拠点はそれぞれの事情にあった販売活動を展開してきた。それで成長を遂げてきたので、「本社はこれまで各国のやり方に関与してこなかった」(ボードレー常務)。

 だが、状況は大きく変化し、「One Fujitsu」色を強めなければ、世界市場で戦えない状況に追い込まれてきた。日本から各国を支援する。得意なサービスやソリューションを持つ現地法人が他国を支援する。そんな体制に変えつつある。ただし、IBMなど欧米ITベンダーとは異なる。同じテクノロジーやサービスをどの国でも提供する点は同じように見るが、ローカルのいいところを残す。「標準化は進めるものの、各国の強み、良さを生かし、そこに本社の強みを組み合わせる」(ボードレー常務)という作戦だ。

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