「ビジネスにはビジネスタブレット」── パートナーらと新市場創造に挑む日本HP(1/2 ページ)

タブレットやスマートフォンのようなコンシューマーテクノロジーが企業の情報システムにも押し寄せてきているが、堅牢さやセキュリティへの懸念は拭い切れない。妥協せずビジネス向けにタブレットを開発する日本HPの岡副社長に話を聞いた。

» 2013年01月18日 08時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
日本HPでパーソナルシステムとプリンタの事業を統括する岡隆史副社長

 「PCはもはや、クリスマスプレゼントの人気ナンバーワンではなくなった」── 調査会社のGartnerは、タブレットに押されて約5パーセントも前年同期を下回った直近(昨年第4四半期)のPC出荷台数レポートでこう付け加えた。

 確かにスイッチを入れればすぐ使えるタブレットやスマートフォンは、コミュニケーションやデジタルコンテントを楽しむスタイルを劇的に変えつつあり、さらなる普及が見込まれている。しかし、世界最大のPCメーカーであるHewlett-Packardの日本法人でPCやタブレットなどの事業を統括する岡隆史副社長は、「タブレットがノートPCの市場を食う、食わない、という議論に意味があるのか。利便性が高まれば、それだけデバイスの総数も増える」と新しい市場づくりに意欲を見せる。

 生活の中にデジタルコンテントがあふれている環境で育ってきた若い世代、いわゆる「デジタルネイティブ」は、さまざまなデバイスを駆使しながら移動中でもコンテントを選び、その場で行動を起こしている。こうしたコンシューマーテクノロジーやライフスタイルが、今後の企業情報システムに与えるインパクトは計り知れない。

 「彼らには、次から次へと押し寄せる情報に優先順位付けする能力が“動物”として備わっているようにさえ思える」と岡氏。

 実際のところ、企業の情報システムも「重要なデータを確実に保存する」という役割から、ネットワークを流れる膨大なデジタルコンテントを分析し、そこから適切な行動を導き出す役割へと変化しつつある。

 「HPでも経営陣は1年のうち50日以上を飛行機で過ごすほど出張が多い。こうした移動中ほど、しっかりと考え、意思決定するのに適した時間はない。経営層の生産性はモバイルツールで決まってしまうと言ってもいい」(岡氏)

モバイルツール導入を阻害するセキュリティへの懸念

 ただし、企業の場合、新しいテクノロジーをすぐに競争力へと役立てるためには、「セキュリティ」や「互換性」の課題を解決しなければならない。特に個人情報保護法でがんじがらめの日本ではセキュリティが大きな阻害要因となり、ノートPCの持ち出しを禁じている企業も多い。「BYOD」(Bring Your Own Device)の議論が始まり、タブレットやスマートフォンがビジネスの現場でも活躍し始めているが、しっかりとしたセキュリティ対策をとっておかなければ思わぬ落とし穴が待っているのも事実だ。

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