静かなSurface RTデビューとビジネスタブレットの標準化(1/2 ページ)

「タブレットでもMicrosoft」を幅広い層に売り込むSurface RTが先週、国内でもデビューした。一方、多くの企業がBYODを検討する中、会社支給のWindowsタブレットも現実的な選択肢だが、国産ベンダーの取り組みは今ひとつだ。

» 2013年03月25日 08時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
Surface RTの国内販売を発表する日本マイクロの樋口泰行社長

 今月中旬、マイクロソフトがタブレットPCの「Surface RT」を国内でも発売した。同社が「過去最大級のマーケティング」という割にはやや静かなデビューだったが、さすがに週末の量販店では、この春から新生活をスタートさせる学生や社会人がSurface RTの特設コーナーに人だかりをつくった。Surface RTの狙いは、PC市場がスマートフォンに食われたり、タブレットにシフトする中、「タブレットでもMicrosoft」を幅広い層に売り込むことにある。

 もちろん、Surface RTに搭載されたARMプロセッサ版のWindows RTは、インテル系のWindowsとはアプリケーションの互換性がないし、Active Directoryによるポリシーベースの管理もできない。このため、企業がこのSurface RTを広範に導入することはないが、iPadとAndroidタブレットがしのぎを削る市場に「Windowsタブレット」が割って入るための先兵と言えるだろう。

 マイクロソフトの思惑は別として、少なからず企業ユーザーはWindowsタブレットが一定の市場を獲得することを期待しているはずだ。デスクトップやノートブックとしてWindowsクライアントがここまで企業に浸透していれば、スマートデバイスもWindowsで標準化されることのメリットはあるからだ。

リスクが高い「BYOD」、ならば「会社支給」?

 今、多くの企業が、特に情報システム部門が頭を悩ませている、なし崩し的な「BYOD」(Bring Your Own Device)、未承認のBYODは、情報ろうえいの非常に高いリスクをはらんでいる。きちんとしたガイドラインを策定してBYODの導入を図っている企業もあると思うが、大半は「赤信号、みんなで渡れば……」式に違いない。自宅に持ち帰った仕事から情報が漏えいするケースが顕在化し、「私物パソコン」があれほど悪者扱いされたのがウソのようだ。

 BYODでは、ばらばらのOSやデバイスをサポートすることによる負担の増加はもちろんのこと、プライバシーや運用のポリシーという、公私で折り合いをつけることが難しい問題も浮上してくる。こうしたさまざまな懸念を考えれば、スマートフォンやタブレットも業務のツールとして「会社支給」とし、しっかりと管理したいと考える企業も少なくないだろう。アプリケーションの互換性や管理性からWindowsタブレットが有力な選択肢として浮上してくるのは言うまでもない。

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