「4つのITパワー」はテクノロジー活用のチェックリスト(1/2 ページ)

「ヒト」だけではなく、「モノ」までもが刻々とデジタル情報を生み出している今、企業はそれらを活用するテクノロジーを見定めようとしている。「モバイル」「ソーシャル」「ビッグデータ」、そして「クラウド」という4つのITパワーは、その掛け合わせによって製品やサービスを劇的に変革する潜在力を秘めている。

» 2013年04月26日 08時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 「堰を切ったようにBYODの本格導入が始まっている」── そう話すのは、スマートフォンなどから企業のメールやスケジューラー、グループウェアにアクセスできるリモートアクセスサービスを提供するe-Janネットワークスの坂本史郎社長だ。

 東レのベンチャー設立支援制度で起業した同社の「CACHATTO」サービスは、専用ブラウザでデータを端末に残さない安心感から評価が高まり、顧客企業が500社(合計16万ユーザー)を超えたあとも、BYOD(Bring Your Own Device)によってワークスタイルを変革したい企業から引き合いが相次いでいるという。

 この地球を網の目のように結ぶインターネットは、何十億というデバイスやセンサーをつないでいる。IDCの予測によれば、2020年にはスマートデバイスだけでも30億に達するとみられており、センサーを加えれば、その数は世界の人口を遥かに超える。「ヒト」だけではなく、「モノ」までもが刻々とデジタル情報を生み出しており、企業はそれらを活用するテクノロジーやソリューションを見定めようとしている。それが今後のビジネスの成否を左右するとみられているからだ。

 「第3のプラットフォーム」という言葉をしばしば耳にするが、「モバイル」「ソーシャル」「ビッグデータ」、そして「クラウド」という4つの技術要素で構成される新しいプラットフォームが有望視されているのはご存じのとおりだ。IDCでは、クライアント/サーバを代表とする現在のプラットフォームから今後、急速にシフトが進むとみている。

情報システム部門の腕の見せ所

ITRの甲元宏明シニアアナリスト

 調査会社アイ・ティ・アールの甲元宏明シニアアナリストも「スマートフォンやタブレットをビジネスの最前線で活用しようと多くの企業が実装に着手している」と話す。甲元氏は三菱マテリアルでさまざまな開発プロジェクトを担当、欧州企業との合弁事業ではグローバルITの責任者も務めた。

 甲元氏によれば、これまでは社内のユーザー部門の要求に合わせて情報システムをあつらえてきた多くの情報システム部門が、ここへきてスマートデバイスという新しいテクノロジーの浸透を契機に、社外の顧客やパートナーを対象とした外向きの情報システム開発に取り組み始めているという。

 もちろん、モバイルを活用しようとすれば、クラウドが前提となる。また、ソーシャルネットワークサービスとつなごうとすれば、社内システムもサービス連携できなければならない。

 「企業のアプリケーション構築には、2つの考え方がある。ビジネス重視と管理重視だ。しかし、管理志向ではもはや悪循環に陥るだけ。既存のITの制約にとらわれず、新しいテクノロジーで糸口を探すべきだ。企業の成長戦略にITがどう貢献できるのか? 情報システム部門にとっては腕の見せ所だ」(甲元氏)

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