日本HP、DevOpsの浸透を図る機能を取り入れたALM統合プラットフォームを発表

アプリケーションライフサイクル管理製品の最新版に、開発から本番環境への実装までの期間を短縮する「DevOps」を実現するための機能を盛り込んでいる。

» 2013年05月30日 19時56分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 日本ヒューレット・パッカードは5月30日、アプリケーションライフサイクル管理製品の最新版となる「HP Application Lifecycle Management 11.52(HP ALM)」および新製品の「HP Continuous Delivery Automation 1.2(HP CDA)」を発表した。開発・テストから本番環境の構築までのプロセスを短縮する「DevOps」を具現化する機能を盛り込んだ。

 HP ALMは、アプリケーション開発のライフサイクル全体の管理とレポートのための総合プラットフォームとなる。最新版では「ラボマネジメント」というテストの自動化を図る新機能を搭載。さまざまテストにおいて最適な環境やリソースなどを事前に定義しておき、スケジュール予約に従って効率的にテストを実施していけるという。また、「HP IT Executive Scorecard」との連携により、CIO向けのレポート作成に必要なKPIを可視化できる機能を実現した。

ラボマネジメント機能の概要

 HP CDAは、クラウド自動化技術を開発やテスト環境配備にも拡張できるインタフェースを提供するソフトウェア。HP ALM 11.52と連携して、アプリケーションの動作対象環境(インフラ、OS、ミドルウェア)の詳細な組み合わせをモデルとして管理、自動化ツールとの組み合わせによって開発から品質保証、ステージング、本番環境までの連続したプロセスの自動化と最適化を図れるとしている。HP ALMからも、HP CDAによるテストの状況をチェックできる。

 記者会見した常務執行役員 HPソフトウェア事業統括の中川いち朗氏は、「クラウドやモバイル、ビッグデータなどの環境要因によって、ビジネス部門からIT部門に開発のスピードアップを求める声が強まっている」と説明し、開発と運用を密結合させることで全体のサイクルを早く回していくというDevOpsの必要性を挙げた。

 ビジネス側の要求に開発側も対応していく一方、運用側ではシステムの安定稼働を最優先するため、開発の短縮化が品質低下などのマイナスの影響をもたらしかねないと危惧する。

 アプリケーションライフサイクルマネジメント事業本部 技術部シニアコンサルタントの藤井智弘氏は、「プロセスで標準化や自動化を図ることで開発における無駄を省き、品質を担保していくための環境を実現する機能を新製品に組み込んだ。これによってガバナンスを維持したいという運用側のニーズも満たし、開発側と運用側のコミュニケーションロスを解決していきたい」と述べた。

DevOps実現のアプローチ

 アプリケーションライフサイクルマネジメント事業本部長の大塩禎之氏は、発表製品の販売促進策について。同社のプロフェショナルサービスと、大手コンサルティングファームやシステムインテグレータ、セールスパートナーとの協調体制によるプロモーションを積極的に展開していくと説明した。中川氏は、「DevOpsを文化として定着させるには、現場部門だけでなく、トップマネジメントを巻き込む取り組みも欠かせない」としている。

 製品価格は、HP ALM 11.52が1同時ユーザーサイトライセンスで90万7200円から、HP CDA 1.2が5アプリケーション対象で462万円から。同社はこのほか、性能管理ツールの最新版「HP Performance Center 11.5」(1仮想ユーザー、1097万5650円)や品質管理ツールの最新版「HP Quality Center 11.5」(1同時ユーザーサイトライセンス、67万2000円)も併せて発表した。

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