ニュース
» 2013年07月16日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:NECがSDN事業強化に込めたSE再活性化策

NECが先週発表したSDN事業の強化には、今後の成長市場への注力とともに、これまでITソリューションに対応してきたSEを再活性化させる狙いもあるようだ。

[松岡功,ITmedia]

SDNソリューションメニューを体系化

 NECが7月10日、SDN(Software Defined Networking)事業の強化策を発表した。これまではデータセンター事業者向けを中心に技術や製品を提供してきたが、今後はその実績を基に、企業や官公庁、通信事業者向けにも適用マーケットを拡大し、個別ニーズに対応したソリューション事業として展開していく構えだ。

会見に臨むNECの野口誠SDN戦略本部長 会見に臨むNECの野口誠SDN戦略本部長

 ソリューション事業の展開に向けた具体的な手立てとして、同社はこのほど、自社のSDN関連技術や製品を中核に、ITおよびネットワークのシステム構築実績に基づく方法論、各種サービスなどを組み合わせて個別ニーズに対応するソリューションメニューを「NEC SDN Solutions」の名称で体系化した。

 その第1弾として、「拠点・データセンター接続最適化ソリューション」「オフィスLAN最適化ソリューション」「アクセス認証ソリューション」「IaaS運用自動化ソリューション」「データセンターネットワーク統合ソリューション」といった5つのメニューを今年10月から提供開始するという。(関連記事参照

 NECがSDN事業に注力するのは、今後の成長市場と見立てて世界に先駆けた取り組みを行ってきたという自負があるからだ。同社はSDNを実現する標準規格の1つである「OpenFlow」をベースに「ProgrammableFlow」技術を開発し、世界に先駆けて製品化や商用化を進めてきた。

 これにより、既に国内外100社以上の企業やデータセンター事業者への導入実績を上げており、高い可用性やリアルタイム性などが求められる通信ネットワークにおいても、欧州の複数の大手通信事業者とSDN活用の共同実証を進めている。

 さらに、今年6月にはNECヨーロッパ(本社:ロンドン)内に「SDNテクニカルマーケティングセンター」を設立し、世界の通信事業者に向けたSDNソリューション事業の展開や標準化団体への積極的な参画を行っているという。

 会見に臨んだ野口誠SDN戦略本部長はSDN市場のポテンシャルとして、2012年で1000億円だったSDNの世界市場規模が2015年に1兆3000億円、2017年には4兆7000億円まで拡大するとの同社の推計を示してみせた。

SEを生かすユニークなSDN事業推進体制

 今回のNECによるSDN事業強化の発表で筆者が特に注目したのは、ソリューションの内容もさることながら、それを推進するためのユニークな体制を整備したことだ。

 具体的には、まず今年4月に、SDN事業戦略の立案や各市場向けのSIサービスや製品開発を行う関連部門を統括する「SDN戦略本部」を設立した。

 そして、同本部がアレンジ役を担う形で、個別ニーズに対応したソリューションの開発を行うエンジニアのバーチャル組織「SDN専任部門」を新設した。

 人員規模としては、SDN戦略本部が約40人でスタートし、SDN専任部門は2015年までにNECグループ全体から800人のエンジニアを“人材プール”化する計画だ。

 ユニークなのはこのSDN専任部門である。野口氏によると、ITとネットワークの融合スキルを有するエンジニアの育成・強化と、さまざまな業種・業務の顧客との対話や提案・導入を通じて先進的なSDNソリューションの開発を行うことをミッションとしている。

 その人材プールには、NECグループ全体からITおよびネットワークのそれぞれに精通したエンジニアを召集し、個別のプロジェクトごとにチームを組んで最適なソリューションを開発するとともに、SDNに求められる融合スキルをエンジニア全員に広げていこうというものだ。

 ここで重要なポイントとなるのは、SDNソリューションの提供に向けて、ITおよびネットワークのそれぞれに精通したエンジニアがチームを組んで動くことである。これまでIT系とネットワーク系のエンジニアが共同作業を行う機会は少なく、両事業を手がけるNECも歴史的に個別の事業体としてビジネスを展開してきた。

 SDN事業は、まさしくその壁を取り払わないと推進していけないということを示唆したのが、今回のNECの取り組みともいえる。それを象徴するように、野口氏が「SDNソリューション事業は、IT系とネットワーク系のエンジニアがしっかりと協力してやっていけるかがキーになる」と語っていたのが印象的だった。

 さらに今回の取り組みでNECが目論んでいるとみられるのは、ITソリューションに対応してきたSE(システムエンジニア)の再活性化だ。クラウド時代に入ってこれまでITソリューションの中核を占めてきたSI事業の先細りが懸念される中、SE人材を今後どう生かしていくかが、NECに限らずIT業界全体の大きな課題となっている。

 その意味では、SDN事業が格好のSE再活性化策になるのではないか。今回のNECの取り組みを見てそう感じた。

 ちなみに、NECにはIT系とネットワーク系を合わせたエンジニアがグループ全体で約2万6000人在籍し、そのうち約1万5000人がITソリューション関連に従事している。SDN専任部門として2015年までに人材プール化される800人はそのほんの一部にすぎないように見えるが、SDN市場の広がりと同じく、SDNによるSE再活性化のポテンシャルも相当大きいのではないか。IT業界全体としても着目すべき取り組みではなかろうか。

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -