NEC、SDN事業を大幅強化へ 10月からソリューションサービスを展開

NECは、SDNを切り口としたシステム構築ビジネスを大手企業や官公庁、通信事業者、データセンター向けに本格化させる。グループ会社を含めたSDN専任技術者の増員も図る。

» 2013年07月10日 17時10分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 NECは7月10日、SDN(Software Defined Networking)事業に関する記者会見を開き、10月から大手企業や官公庁、通信事業者、データセンター事業者向けに「NEC SDN Solutions」というソリューションサービスを提供すると発表した。組織や人員体制の強化も進める。

 「NEC SDN Solutions」では5つのメニューを第一弾として提供する。大手企業や官公庁、データセンターの顧客向けにはNEC本体やグループ会社による組織横断型の「SDN専任部門」を設置。ネットワーク技術者とIT技術者が一体的にソリューションサービスを提供する体制とし、2015年までに800人規模に拡充する。

NEC SDN Solutionsの一例

 また、通信事業者向けには3つのソリューション領域(統合・運用管理、トランスポート、ネットワーク機能仮想化)を設け、SDNによるインフラの利用をサポートしていく方針。6月にはNECの欧州法人に「SDN Technical & Marketing Centre」を設立し、海外通信事業者とのSDNの共同展開やSDN関連団体の協働体制作りを進めている。

野口誠 SDN戦略本部長

 これらのソリューションは同社製品だけでなく、協業ベンダーの製品やサービスも含めて提供していく方針。同社ではSDNを実現する標準規格の1つ「OpenFlow」に対応したネットワークコントローラやスイッチなどの「UNIVERGE PFシリーズ」や統合運用管理ソフト「WebSAM vDC Automation」などの製品を展開。これまでデータセンター事業者など約100社に提供実績がある。

 会見したSDN戦略本部長の野口誠氏は、「製品事業の経験をもとにソリューション化を図り、一般企業や官公庁、通信事業者にもSDNを広げていく」と表明した。同社では世界のSDN市場規模を、2012年が1000億円、2015年が1兆3000億円、2017年が4兆7000億円と推計する。野口氏によれば、2015年時点での市場規模の内訳を企業向けおよび官公庁向けでそれぞれ5000億円、通信事業者向けで3000億とみており、「同年にシェア20%は獲得したい」と述べている。

10月から提供する「NEC SDN Solutions」のメニュー
メニュー 内容
拠点・データセンター接続最適化 拠点とデータセンター間、データセンターとデータセンター間の通信回線の性能や通信状態の監視情報と、利用時間帯などの管理機能をもとに、通信回線の利用効率とルートを最適化するソリューション。通信回線の利用効率化と運用自動化により、管理コストを削減。
オフィスLAN最適化 部門毎に構築されたオフィスLAN環境をネットワーク仮想化によって統合し、ネットワーク機器の集約と集中管理・見える化を行うソリューション。店舗、工場等などにも適用可能。オフィスLANの最適化によって、拠点新設やレイアウト変更などへの迅速な対応、システム運用の効率化と管理コストを削減。
アクセス認証 企業内システムにおける情報漏洩などのセキュリティ脅威に対して、一元化された認証情報により、利用者単位・端末単位の認証を行い、グループ単位(部門・プロジェクトなど)に分離された仮想ネットワークを構築するソリューション。ネットワークのアクセス制御によってセキュリティを強化するとともに、組織移動などに伴うセキュリティルールの設定や変更を自動化し、運用コストを抑制。
IaaS運用自動化 IaaSを構成するICT(物理/仮想サーバ、ストレージ、ネットワーク、ファイアウォール、ロードバランサなど)をプール化して一元管理し、利用者へ提供するサービスのリソース組合せや運用を自動化するソリューション。ICTリソースの利用効率化と管理コストを削減。サービス追加の期間も短縮。
データセンターネットワーク統合 既存システムのネットワーク統合、データセンターへの統合の際に、ネットワーク設定(IPアドレスなど)を変更することなくシステムを移行・統合するためのネットワーク仮想化ソリューション。システム統合の移行期間と費用を削減。さらに、その後の運用管理や変更コストを抑制。

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