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» 2013年10月22日 08時00分 UPDATE

VOYAGE流・企業文化構築プロジェクトの全貌:【第1回】なぜ私はCCOになったのか (1/3)

ネットベンチャー会社から永続的に事業成長する企業へ飛躍する――。「ECナビ」で知られるVOYAGE GROUPが企業文化を変革する一大プロジェクトに取り組んだ。本連載では、その指揮官である青柳取締役がプロジェクト成功の要諦を語り尽くす。

[青柳智士(VOYAGE GROUP),ITmedia]

 2009年夏、私は米国・ラスベガスの街角に立っていました。ラスベガスのカラッとした青空とは裏腹に、私の心の中はもやもやと雲がかっていました。創業から10年を迎えようとしていたECナビ(現・VOYAGE GROUP)は、業績は堅調だったものの、組織の求心力が低下し、退職者の増加が大きな問題となっていました。

企業視察したZapposの本社オフィスにて。後列左が著者。後列左から3人目がトニー・シェイCEO 企業視察したZapposの本社オフィスにて。後列左が著者。後列左から3人目がトニー・シェイCEO

 「このまま放ってはおけない!」。強い危機感を持った私は、先進的な海外ベンチャー企業に学ぶべく、ラスベガスに飛びました。特に組織作りにおいて参考にしたいと考えていたのが、「企業文化」を経営戦略の中核に据える米Zapposでした。結果的に、同社の視察は想像以上の収穫をもたらすことになったのです。

 「企業文化を作る旗振り役を担わせてほしい」――。帰国後、私は社長である宇佐美(進典)にこう直談判しました。聞きなれないChief Culture Officer(最高文化責任者:CCO)という肩書は、すべてここから始まりました。

ゼロからのスタートとなった改革プロジェクト

 企業文化を作り、強化していきたかった背景には、市場環境の変化が激しいインターネット産業において、1つのプロダクトやビジネスモデルだけで成長を続けるのは非常に難しかったことと、その中での競争優位性を「環境変化に対応し、新たなビジネスに挑戦し続けられる人であり、その人が働きやすいと思える企業文化である」と位置付けたことがありました。

 しかしながら、社内の当時の反応は、「CCOって何するのですか」「なぜ企業文化を強化する必要あるのですか」など、否定的な意見が多かったのも事実です。企業文化を作るといっても、抽象度が高く、時間尺度が長いものですので、具体的なイメージが社員一人一人によって異なり、多くの社員を巻き込んで進めていくことは決して容易ではありませんでした。

 まさにゼロからのスタートとなったこの改革プロジェクトは、経営理念の見直しに始まり、オフィスリニューアル、無人島インターン、評価制度のバージョンアップ、事業開発の仕組み、インキュベーションオフィスなど、会社のフェーズやタイミングを考え、代表的な企業文化になり得る取り組みを行っていきました。そして、ECナビからVOYAGE GROUPへと社名変更したことで、それまで点と点で見えていたものが線や面になり、社内外に対して統一感を持って発信できるようになったのです。

 ありがたいことにいくつかの取り組みを評価していただき、「日経ニューオフィス賞」や「働きがいのある会社ランキング」などの賞を受賞しました。こうした外部評価によって、全社で進めてきたプロジェクトに多くの社員が納得感を持てるようになったのではないでしょうか。

CCOとはかくあるべきか?

 私自身、CCOの役割とはどうあるべきなのだろうと、前例のない肩書きだからこその苦悩がありました。その中で導き出した答えは、CCOとは、抽象度の高い会社の想いやメッセージを経営理念、プロダクト、空間、キャッチコピー、採用、制度、福利厚生などさまざまな形態で具現化し、社内に浸透させ、社外に発信していくことが役割だとしました。そして、企業文化自体は社員全員で作られていくものであると考えています。

 多くの社員や外部のパートナーを巻き込んで進めていくプロジェクトを通して、プロジェクトリーダーにとって大事なものは、賛同者が少ない状態でも「圧倒的な熱量とブレない覚悟」を持ち、「説得するのではなく納得してもらう」といった心構えではないかと感じています。

 本連載では、企業文化を築き上げるというこの大変革プロジェクトで学んだことを、プロジェクトリーダーの観点から読者の皆さんにご紹介できれば幸いです。

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