企業のIT活用は2極化傾向が浮き彫りに――野村総研調べ

野村総合研究所の大手企業に対するIT活用度調査で、情報投資が伸び悩む中、ITを積極的に事業創造や変革に利用する企業と、そうではない企業との2極化が進んでいるという結果が出た。

» 2014年02月28日 16時17分 公開
[ITmedia]

 野村総合研究所(NRI)は2月28日、日本企業のIT(情報技術およびそれを利用したシステム)活用の実態を把握するためのアンケート調査「ユーザー企業のIT活用実態調査(2013年)」の結果を発表した。全業種にわたる599社の大手企業からの回答をもとに分析している。

 分析結果では、ITが果たす役割によって企業を4つのタイプに分類できるという。4つのタイプと全体に占める割合は、順番に「ITが競争優位につながるコア技術であり、かつ基幹設備であると考える企業(コア・基幹)」が33.7%、「コア技術であるが基幹設備ではない企業(コア・非基幹)」が19.9%、「コア技術ではないが基幹設備である企業(非コア・基幹)」が37.9%、「コア技術でも基幹設備でもない企業(非コア・非基幹)」が7.5%となっている。

 アンケートでは、日本企業全体のIT投資についても尋ねた。それによるとIT投資は、横ばいから微減へと転じつつあるという。4つのタイプで最もIT投資に積極的と考えられる「コア・基幹」の企業においても、2014年度のIT投資を「増額する」と回答した企業は40%で、その他グループに比較してやや多いものの、増額率は2013年度よりも下がった。

 またIT投資の目的については、ビジネスの維持のために使う割合が、「コア・基幹」「コア・非基幹」のグループで67%だったのに対し、「非コア・基幹」「非コア・非基幹」では75%となっている。この結果から、ITをコア技術ではないとする企業ほど、IT投資を事業創造や変革へのIT活用ではなく、ビジネスの維持に多く費やしているという。

IT費用の適正化手段(出典:野村総合研究所)

 IT活用のテーマとして、今回の調査では「業務効率化」「業務標準化」「経営管理機能強化」「事業・サービス創造」などが挙げられているが、「コア・基幹」の企業は、「事業・サービス創造」を特に重要視しており、他のタイプとの差が顕著に出たという。

 この結果を受けてNRIは、「ITを自社のコア技術として位置づけ、積極的に活用しようとする企業と、そうではない企業とが2極化傾向がみられる」と指摘。このギャップを埋める施策が必要と提起している。

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