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» 2014年08月05日 08時00分 UPDATE

情シスの横顔:店舗から倉庫まであらゆる業務を知る強み タワーレコード・下田代さん

26年前にタワーレコードに入社した下田代さんは、現在までのキャリアにおいてほぼすべての部門を渡り歩いてきた男だ。その経験を武器にITサービス本部長として全社のシステムを力強く下支えしている。

[伏見学,ITmedia]

企業のIT部門で活躍する方々を追ったインタービュー連載「情シスの横顔」のバックナンバー

 「NO MUSIC, NO LIFE.」を企業のキャッチコピーに掲げ、すべての音楽好きのためにさまざまな情報や商品・サービスを提供しているのが、大手CDショップのタワーレコードだ。

タワーレコード ITサービス本部 本部長の下田代 二郎さん。宮崎県出身 タワーレコード ITサービス本部 本部長の下田代 二郎さん。宮崎県出身

 元々は米国企業だった同社が、日本で初めて店舗を開いたのは1980年のこと。その後、全国に店舗拡大するなど業績を伸ばしていったわけだが、昨今、同社を取り巻くビジネス環境は厳しい。1998年には約6000億円のCD売上高を記録した国内の音楽ソフト市場は、今やその3分の1にまで縮小した。

 こうした音楽業界の不況を背景に、ダイナミックな経営変革を迫られる中、タワーレコードでは、マーケティングを強化してオンライン事業での収益を拡大するなど気を吐いている。(関連記事:驚異の4000%成長! タワーレコードのオンライン事業に何が起きたのか

 同社の変革をシステム面からサポートしているのが、ITサービス本部 本部長の下田代 二郎さんだ。1988年に入社して以来、実に数多くの部署を渡り歩いたという、まさにタワーレコードのすべてを知るといっても過言ではない古参社員である。

7つの部署を経験

 CDの卸部門でキャリアをスタートした下田代さんは、そこで倉庫管理の業務を長らく務める。1990年代になるとシステム化が進み、パッケージソフトで卸部の業務効率化を図るためにシステムを手組みで構築するという経験もした。

 2000年に店舗部門に異動し、新宿店、横浜元町店で3年間働いた後、セキュリティサービス部で万引き防止対策に取り組み、防犯カメラやセキュリティゲートなどの導入に携わった。

 その半年後、タワーレコードの基幹システム入れ替えによって店舗に新たなシステムを導入するため、その導入担当として、スタッフを教育する部門であるトレーニング部に移った。ここでは店舗現場の視点でマニュアルを作成するなどして、IT導入プロジェクトにかかわった。

 導入プロジェクトが終わると、今度は営業支援部(当時)に異動し、販売促進や電子マネー導入、ポイントサービス改定など、さまざまな施策を検討する店舗支援業務に従事する。その後、2008年から商品管理本部(当時)で在庫管理を担当し、2009年に現職となるITサービス本部の本部長に着任した。入社してから実に7つ目の部署である。

顧客目線を持ったIT部門になれ!

 タワーレコードのITシステムは大きく「店舗」「オンライン」「インフラ」の3つに分類される。これらを担当するITサービス本部は15人ほどのスタッフから成る。平均年齢は30代後半で、「休日はバーベキューする」(下田代さん)こともあるほど仲間意識の高いチームだそうだ。

 下田代さんがITサービス本部に異動してすぐにかかわったのが、オンラインサイトのフルリニューアルプロジェクトである。このプロジェクトが動き出したのは、まだ下田代さんが商品管理本部にいたころ。「当時、オンラインで扱う商品は外部委託していた倉庫で管理していましたが、これを内製化するために倉庫管理システムを開発することになりました。ただ、大元となるサイトリニューアルがトラブル続きだったため、ITサービス本部に途中から加わることになったのです」と下田代さんは振り返る。

 混乱の真っただ中に放り込まれた下田代さん。何とか1年後の2010年にリニューアルを完了したが、その後も1年以上はトラブルが起きていた。

 「オンラインサイトのシステム開発はマルチベンダープロジェクトだったため、契約の範囲、役割分担、その取りまとめなどに苦労しました。中にはどうにもこうにも品質が悪くて動かないというものもあったため、その部分はリニューアル後に新たなパッケージを導入して作り変えました」(下田代さん)

 リニューアルでは、主に検索エンジンを強化したほか、店舗とのポイント統合やコンビニエンスストア「セブン-イレブン」での受け取りサービスなどの機能を追加した。

 このオンラインサイトのリニューアルが代表例だが、当時のタワーレコードは経営戦略としてオンラインに注力し始めていた時期だった。そうした中で下田代さんがITサービス本部の統括として選ばれた理由は、誰よりも「現場」を知るからだ。

 「異動の際に経営陣から言われたのは、現場目線、顧客目線に立ったシステム支援です。過去にはITの専門家を外部から引っ張ってきたこともありましたが、現場業務を知らないことが足かせとなっていました。タワーレコードは店舗中心で育った会社なので、店舗という現場を理解し、その先にいる顧客を見据えたサービスや業務の改善提案がITサービス本部には求められていたのです」(下田代さん)

信じて任せる

 日ごろ、下田代さんがマネジメントする上で心掛けていることは何か。部下たちには常に「自分が納得できる仕事をしようよ、と話しています」と下田代さん。例えば、システムの要件定義において、営業側の主張をそのまま受け入れ、引っ掛かる点があっても流してしまえば、後戻りはできない。そうならないためにも、言うべきことはきちんと言って、その上で納得したら、あとはとことん突き進むだけだという。

 もう1つ心掛けているのが、他人に任せるということだ。以前は何でも自分でやりたいタイプだった下田代さんだが、その結果、仕事などを抱え込んでしまうこともあったという。ITサービス本部に来て感じたのは、自分にはプログラミングなどITに対する専門的な知識がないため、そこはメンバーを信じて任せるべきだということである。

「分からないことは自分で何とかしようとするのではなく、『お前に頼んだ!』とできるだけ適材適所でメンバーにお願いするようにしています。そうすることで彼らにも『任せてもらっているのだな』という意識を持ってもらえるようになりました」(下田代さん)

情報システム部門には、IT視点からの「営業支援」とセキュリティ対策やコスト削減などに貢献する「ブレーキ役」という2つの側面があると思います。このバランスをいかにとっていくかが非常に大事だと感じています 情報システム部門には、IT視点からの「営業支援」とセキュリティ対策やコスト削減などに貢献する「ブレーキ役」という2つの側面があると思います。このバランスをいかにとっていくかが非常に大事だと感じています

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