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» 2014年09月30日 08時00分 UPDATE

お堅い行政会議もタブレットで変わった――議事録に代わる新手法「グラフィックレコーディング」とは (1/2)

シンプルで堅いイメージが付きまとう「議事録」だが、最近ではテクノロジの進化に後押しされて新たな手法が注目を集めている。内閣官房による行政会議でも使われた「グラフィックレコーディング」の可能性を探った。

[宮本裕人,ITmedia]

 まずは下の図を見てほしい。似顔絵やポップな色が使われた矢印、ところどころに散りばめられたイラスト――学生のメモ書きをイメージするかもしれないが、それは違う。この図は内閣官房が今年行った行政会議で実際に使われた“次世代議事録”こと「グラフィックレコーディング」によるものだ。

photo 「国・行政のあり方に関する懇談会」(第7回)で用いられたグラフィックレコーディング
photo 上のグラフィックレコーディングと同じ内容を記録した一般的な議事録

 会議の内容を共有する上で欠かせない議事録。これまでは発言内容を文章で記録するのが一般的だったが、タブレット端末やWebサービスの普及に後押しされ、新たな手法が注目度を増しつつある。それこそが、会議の内容をビジュアル化して即座に共有していくグラフィックレコーディングというわけだ。

 グラフィックレコーディングが注目されるようになった背景や、この新手法がビジネスや社会の場にもたらす可能性とは――。冒頭の取り組みを支援した東海大学の富田誠講師(教養学部 芸術学科 デザイン学課程 専任講師)に聞いた。

会議の視覚化が生み出すものとは

photo 東海大学の富田誠氏

 会議の様子を言葉だけでなく、イラストや図を使って視覚的に記録していくグラフィックレコーディング。これが求められるようになった背景には、短時間でアイデアを出し合う“ハッカソン”や行政が主催する市民参加型の会議など、「集団/対話型コミュニケーション機会の増加」が挙げられるという。

 「グラフィックレコーディングを用いて議論を“視覚化”すれば、発言内容をその場で振り返ったり、意見をまとめたりできる。さらに、会議内で得られた結果を、その場にいなかった人々にも簡単にシェアできる」と富田氏は話す。

 また、タブレット端末やオンラインでのドキュメント共有ツールの登場も、グラフィックレコーディングの実用化を後押ししているという。具体的には「Google ドキュメント」「Keynote for iCloud」「MetaMoJi Share」をはじめとするWebサービスを活用すれば、不慣れな人でも簡単に議事録の共有や同時編集が行えると富田氏は話す。

脱・紙の会議! 行政会議への導入で見えた「手応え」と「課題」

photo 会議の横でグラフィックレコーディングが行われた

 こうして注目を集めるグラフィックレコーディングは、実際の場でも活用が進められつつあるようだ。例えば今年1〜6月に開催された「国・行政のあり方に関する懇談会」(第4〜11回)は、行政会議としては「国内で初めて」グラフィックレコーディングを行ったことで話題を呼んだ。

 同会議の趣旨は、識者がこれからの国や行政のあり方について討論するというもの。当日は記録スタッフがチームに分かれ、(1)参加者の発言をテキストにまとめる、(2)それを共有ノートに配置したり、イラストを追加して図にしていく――といった作業をオンラインツール上で繰り返してグラフィックレコーディングを行っていった。

 こうして完成したのは「円の重なりによって発言の関係性をまとめる」という視覚的な会議録。これは参加者たちがその場で議論の内容を振り返るのに活用されたほか、行政のWebサイトで一般公開し、会議内容を多くの人々に共有するためにも役立ったという。

photo 完成した第9回懇談会のグラフィックレコーディング

 行政側の担当者も成果を実感したようだ。同会議を運営した担当者からは「タブレットなどの新しいツールを使って議論を活性化できた」「従来の紙の資料による会議を改善する」――などの声が上がった。また、会議に参加した社会学者の古市憲寿さんはTwitterで「国の会議なんだけど、iPadを使ったシェアノートでどんどん議事録やメッセージが更新されていく」「2014年って感じだ」と驚きの声をツイートしていた。

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