ヴイエムウェアが「vSphere 6」を発表、ストレージやOpenStackとの連携も

仮想化基盤「vSphere」の最新版が国内発表された。650以上の機能強化に加え、ストレージの効率的な利用を実現する「Virtual Volumes」やOpenStackを実装するツールなどを新たに提供する。

» 2015年02月03日 18時40分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 ヴイエムウェアは2月3日、仮想化/クラウド基盤製品の最新版「VMware vSphere 6」や、ストレージの効率的な利用を実現する「VMware Virtual SAN 6」「Virtual Volumes」、VMware環境上にOpenStackを実装できる「VMware Integrated OpenStack」を国内発表した。

 vSphereは、2011年以来約3年ぶりのメジャーバージョンアップとなる。コンセプトについてマーケティング本部長の篠原克志氏は、「この間に企業のIT環境ではビジネスの変化へ迅速に対応できることが強く求められるようになり、『One Cloud』『Any Application』を実現すべく、vSphere 6では当社の掲げるSoftware Defined Data Center(SDDC)をさらに推進する機能を盛り込んでいる」と説明した。

新製品群の位置付け

 vSphere 6では650以上の新機能が追加され、特にスケーラビリティの大幅な向上や高可用性の強化などが特徴だという。

 スケーラビリティではホスト1台あたりの仮想マシン数が従来の約4倍となる最大2048台となったほか、クラスタあたりの仮想マシン台数も同2倍の最大8000台に増加。ライブマイグレーションもレイテンシが100ミリ秒以下の長距離まで可能となり、遠隔地のデータセンターを利用した事業継続性の強化に貢献する。高可用性の面ではフォールトレランスでサポートされる仮想CPUが従来の1CPUから4CPUとなり、ミッションクリティカルシステムの継続運用を可能にした。

高可用性が求められるシステムへの対応を強化した
シニアプロダクトマーケティングマネージャの桂島航氏

 Virtual SAN 6とVirtual Volumesは、仮想化環境の運用を難しくしていたストレージの課題の解決を目指したものになる。「従来の仮想マシンの運用管理はストレージ機器に依存し、ユーザーは高機能なストレージを利用しなければならなかった。ソフトウェア技術でこの制約を解決、サービスの自動化やハードウェア性能を生かす利用を実現する」(シニアプロダクトマーケティングマネージャの桂島航氏)

 Virtual SAN 6ではSSDの階層化が可能になり、オールフラッシュ構成でも高速性と効率性に優れたストレージ利用が実現するという。また、ホストあたりのIOPSもHDDとSSDの構成で従来に比べて2倍、オールフラッシュで4倍に向上した。クラスタあたりのノード数も最大32ノードから64ノードに拡大している。

 Virtual Volumesは、仮想マシン単位でのストレージの利用を可能にする新技術となる。例えば、レプリケーションやスナップショットなどの作業は、従来はファイルシステムやボリューム単位でしか行えず、仮想マシン1台ごとなどきめ細かい利用ができなかった。同技術はvSphereのStandardエディション以上で利用でき、ストレージベンダーもNECや富士通、日立製作所、HP、NetApp、EMC、Dell、IBMなどが対応を表明。NECや富士通、日立が6月までにVirtual Volumesへ対応する予定だという。

多数のストレージベンダーがVirtual Volumesへの対応を表明

 VMware Integrated OpenStackは、同社初のOpenStackディストリビューションになる。管理コンソールから設定するだけで、既存のvSphere環境上に15分程度でOpenStackを実装でき、管理コンソールで運用管理ができる。桂島氏によれば、最近はDevOpsなどに取り組むためにOpenStackを利用したいというユーザー企業が増えている。「Integrated OpenStackは事前に検証済みの15個の仮想マシンから構成され、サポート窓口も提供する」(同氏)

OpenStackも利用できるようになる

 今回発表した製品群は、2015年第1四半期中の提供を予定している。

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