IEが消える? IT管理者を悩ますWindows 10の「Spartan」ブラウザEnterprise IT Kaleidoscope(2/3 ページ)

» 2015年03月23日 08時00分 公開
[山本雅史ITmedia]

バージョンアップがもたらす光と影?

 IEでもう1つ問題になっているのが、セキュリティだ。古い歴史を持つIEは、ActiveXやBrowser Helper Objectsがセキュリティホールになることがあった。ChromeやFirefoxではプラグインの仕組みが変更され、セキュリティホールにならないようにしている(関連記事)。しかし、IEではActiveXなど今までのプラグインとの互換性を重視するために、一気に新しい仕組みへ変更することができなかった。

 そこで、SpartanではActiveXやBrowser Helper Objectsなどのサポートをやめ、全く新しいプラグインの仕組みを用意する。これにより、MicrosoftはSpartanを高いセキュリティを持つWebブラウザにしていきたいと考えているようだ。また、SpartanではIEよりも高い頻度でアップデートしていくようだ。ChromeやFirefoxが1年間に複数アップデートされていることを考えれば、Spartanでも同じように頻繁なアップデートが期待される。

 IEではアップデートせずに古いバージョンを使い続けるユーザーが多くいる。Microsoftとしては、Spartanでは常に最新のアップデートを基本とすることで、複数バージョンのSpartanが市場で存在する状況にさせたくないのだろう。

 だがこの点は、企業ユーザーにとって悩ましい問題をはらむ。Spartanの頻繁なアップデートでユーザーインタフェースやレンダリングエンジンなどがコロコロ変われば、ユーザーが慣れても絶えず新たな使い方を習熟しなければならなかったり、今までに作成したWebサイトやWebアプリケーションが正しく表示されなくなったりする恐れがあるからだ。逆にこういった問題がないなら、Spartanをメインブラウザに据えても良い。企業のIT管理者としては、これまで社内で行ってきたWebブラウザのテスト方法を変え、最新ブラウザを積極的に採用していく意識が求められるだろう。

 さらに、.NET Coreなどのオープンソース化を進めているMicrosoftの方針をみていると、将来的にSpartanやEdge HTMLなどをオープンソース化する可能性がある。SpartanをAndroid、iOSやMac、Linuxにも移植して、OSやデバイスを問わないWebブラウザとして広めていくことも想定される。

Microsoftは「ModernIE」というWebサイトを開設し、IEやSpartanでサポートする機能をユーザー投票で決めている

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