業務効率化につながる「法人番号」の可能性マイナンバー・企業の対応と注意点(1/3 ページ)

国民に通知される「個人番号(マイナンバー)」と同時に、企業などには「法人番号」が通知されます。「法人番号」は様々な利活用が検討されていますが、どのようなメリットがあるのでしょうか。

» 2015年03月24日 08時00分 公開

 前回の記事では税と社会保障に係る業務での法人番号対応を説明しました。今回は法人番号の利用範囲が規定されていないという特徴を踏まえ、企業が法人番号等を活用することでどのようなメリットが得られるのかを説明します。

企業が法人番号等を活用するメリット

 企業は国税庁から公開される法人等の「3情報」(法人番号、商号または名称、本店または主たる事業所の所在地)を活用することで、以下のようなメリットが期待できます。

1.法人番号による名寄せの効率化

 各企業や部門の多くはこれまで独自のコードを使って取引先などの企業情報を管理してきたため、企業や部門を超えて取引情報などを共有・連携する際、コードの変換や人手による企業名での名寄せが必要になっていました。今後、取引先などの企業情報に取引先の法人番号を紐付けて管理することで、複数の部門や企業に分散する取引情報を効率的に集約できるようになります。

 また、従来は企業名のゆらぎ(例:「株式会社」表記などの違い)や住所の差異(例:「1-2-3」「1丁目2番地3号」「一丁目二番地三号」など)によって、既に登録されているにもかかわらず同一企業を別の企業として重複登録してしまう場合があります。顧客情報を重複登録してしまうと、取引状況を正確に把握ができなくなったり、顧客の引継ぎが適切にできなくなったりする問題が発生します。やはり、取引先などの企業情報に法人番号を紐付けて管理することにより、取引先の重複登録を防止できるようになります。

2.取引先情報の取得・更新の効率化

 新たに設立登記された法人の3情報が今後国税庁から公開されるため、企業は新設法人の情報をタイムリーに把握できるようになり、営業活動への活用も期待できます。

 また、商業登記の商号や所在地が更新された場合、解散・合併により情報が更新された場合にも、国税庁から更新情報が提供されます。企業はそれらの情報を活用して取引先等の企業情報を更新するのに活用できるようになります。

 ただし、公開される情報は3情報に限られることや、商業登記自体の情報が適切に更新されていないケースがあるなどの課題があります。今後は、法人等に関する様々な企業情報が法人番号付きで流通することによって、取引先情報の鮮度向上などに活用できる情報項目が飛躍的に拡大することが期待されます。

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